令和元年度宅建試験直前対策としてやるべきこと

  • 2019.10.08 Tuesday
  • 10:29

今年も、宅建試験の時期がやってきました。

今年の宅建試験は2019年10月20日(日)13:00〜(5問免除者は13:10〜)です。

受験生の皆様は直前の追い込みを頑張っておられるのではないでしょうか。

 

昨年度、平成30年の宅建試験は213,993人、合格者は33,360人、合格率は15.6%でした。

実際の申し込みは265,444人ですから、試験に当日に来られなかった方が約51,000人、これを含めて考えると、実際の合格率は12.6%といったところでしょうか。データを見ると毎年大体同じような数字で推移していることから、今年も同じような傾向になると推測できます。

 

しかし、受験者数や合格率などはどうでもよいことです。実際に受験者としてやるべきことはたったの2つです。

1.きちんと勉強し、宅建の正確な知識を身につける

2.体調管理に気を配る

この2つです。

 

1.きちんと勉強し、宅建の正確な知識を身につける

宅建試験の受験生にとって、この宅建試験というのは単なる通過点に過ぎません。宅建試験とは、受験日当日において受験生が不動産を取り扱うプロとしてのスタートラインに立つ知識と能力を有しているかどうかを判断する試験にほかならないからです。宅建試験の合格はゴールではなく、初歩の初歩、単なるスタートラインです。スタートした後は、受験のためにしたのと同じレベルの勉強を毎日積み重ねる必要があります。つまり勉強それ自体がプロフェッショナルとしての生活の一部、ルーティンになっていることが必要です。

 

したがって、試験直前だからといって特別なことをする必要はありません。今まで積み重ねてきた勉強の日々を続けていき、その途中に宅建試験というチェックポイントを通過するというだけのことです。受験生の中にはこの時期に不安を感じ、難易度の高い予想問題等に手を出す方もいらっしゃいますが、我々のような毎日不動産を取り扱う仕事をしている人間でも理解できない細かい知識等を覚える必要はありません。ひたすらに過去問の正解率を高めていくことが王道であり、最も合格率が高くなる勉強法であることは間違いありません。

 

2.体調管理に気を配る

じつはこの体調管理こそ最も重要な試験直前対策です。知識は毎日の勉強を積み重ねれば誰でも得ることができます。しかしそれを試験当日にアウトプットできるかどうかは体調に大きく左右されます。「よく問題文を読んでいれば分かったのに!」「知っていたのに思い出せなかった!」「周りが気になって集中できなかった!」こういう状況は、自分の体調が整っていない時に訪れます。

 

バランスの良い食事を摂らずに脳に糖質を含む栄養素が足りない状況では、正しく知識をアウトプットすることは難しくなります。あるいは睡眠を取らずに試験に臨めば当然、回答の正確度は落ちます。アメリカの学会誌「sleep」で発表された実験が参考になります。この実験では夜勤をする医師と夜勤がない医師をそれぞれ20名ずつのグループに分け、タブレットの画面に丸い図形がランダムに出現する画像を5分間見て、図形が出るたびにボタンを押すという誰でもできる単純な作業をさせました。夜勤がなく、きちんと睡眠を取っているグループの医師たちは、正確に反応しました。しかし夜勤明けの医師たちは90回出現する図形の内、3〜4回図形に反応することができないという結果を出してしまいました。この現象をマイクロスリープといい、脳波を見ると、1秒から10秒、脳が無意識に眠っている状況になっています(参考;「スタンフォード式最高の睡眠」西野精治著)

 

宅建試験の受験生は大抵、毎日各自の仕事を行っており、特に不動産業界で働いていると(慣習として)長時間労働や不規則な食事になりがちです。帰宅が夜遅くなることもあるでしょう。しかし、自分自身の能力を最大限に発揮することこそがプロフェッショナルとしての条件ですから、自分のコントロールできるところでは体調を万全にするための対策を取らなければなりません。例えば食事を三食きちんとバランスよく食べることや、お酒を控えること、少しの運動をすること、遅くまでスマホを見るのを止め早く寝ること、こういったことは自分自身で気を付けてコントロールできることではないでしょうか。

 

そのような毎日の積み重ねが、宅建試験と言うチェックポイントを万全な状態で通過する最も大切な対策となることは間違いありません。

 

さて、本年度令和最初の宅建試験の合格発表は令和元年12月4日(水)午前9:30です。

不動産取引のプロフェッショナルとしてスタートラインに立たれた皆様と、不動産の現場でお会いすることを楽しみにしております。

 

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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長持ちする鉄筋コンクリート(RC)造の建物を建てるには

  • 2019.09.03 Tuesday
  • 11:57

日本では関東大震災のあった1923年以降、強度と耐久性に優れた建築として鉄筋コンクリート造が普及してきました。

 

その耐久性はやはりさすがというべきか、現在不動産の現場で取引されている建物の中には築40年50年という鉄筋コンクリート造のものがたくさんあります。

 

一方で、築年数が経過した鉄筋コンクリート造の建物の中には、内部の鉄筋が腐食しているようなものもあります。

 

コンクリートは本来、強アルカリ性です。したがって骨格たる鉄筋の表面に「不動態被膜」という被膜を作り、鉄筋が腐食したり錆びたりすることを防いでいます。

 

しかし時間の経過と共に、大気中に含まれる二酸化炭素等の影響を受けてアルカリ性だったコンクリートが徐々に中性に傾いていきます。

 

中性化すると鉄筋に表面の「不動態被膜」がなくなっていき、この被膜がなくなることによって、鉄筋が腐食したり錆びたりしていきます。

 

鉄筋が腐食したり錆びたりしていくと、鉄筋自体の体積が増えていきます。鉄筋自体の体積が増えるとその膨張によってコンクリートにひび割れが生じます。ひび割れが生じるとそこからさらに酸素や水分が入り込み、鉄筋の腐食や錆びがますます進行していきます。

 

強度と耐久性に優れた鉄筋コンクリート造の建物であっても、時間の経過と共にこのように劣化していきます。

 

では私たちが鉄筋コンクリートの建物を建てようと考えるときに、なるべく長く安全にテナントに入居していただける物件を作るためにできることとは一体何でしょうか。

 

建築基準法施行令79条には、鉄筋コンクリート造の建物の鉄筋のかぶり厚が規定されています。

 

かぶり厚とはコンクリートの表面から鉄筋の表面までの距離のことです。

 

基礎部分の鉄筋コンクリートのかぶり厚は60ミリ、耐力壁・柱・梁は30ミリ、耐力壁以外の壁や床は20ミリといったように最小距離が設定されています。

 

例えばかぶり厚を30ミリにした場合には、鉄筋の位置までコンクリートが中性化して不動態被膜をなくしてしまうようになるまで約60年であるといわれています。しかしそれをさらに10ミリ、つまり1センチ厚くするだけで、この期間は115年まで伸びます。

 

またコンクリートをひび割れしにくくするために、コンクリートの強度を上げる工夫もできます。

コンクリートは型枠に流し込んでから固まるまでの間、風雨をしのぎ、直射日光を当たらないようにし、急激な乾燥や温度変化を避けるために養生期間をとります。そしてこの養生期間が長いほどコンクリートの強度は上がり、その結果ひび割れが極端に減少することとなります。

 

専門家によるとこのコンクリートの養生期間を1〜2日長くするだけで、かなりコンクリートの強度を上げることができるそうです。鉄筋コンクリート造の賃貸ビルを建てる投資家としては、一日でも早く市場に物件を出したいという気持ちはあるかもしれませんが、1〜2日の投資でその後数十年に渡る費用の発生を抑え、安全性を高めることによる投資効率の高め方、出口でのキャピタルゲインの増やし方があるということも理解しておく必要があるかもしれません。

 

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わりと出ることがある不動産売却益と相続不動産を早く売るべき理由

  • 2019.07.15 Monday
  • 12:10

1.

不動産の処分を考え始めた時に頭をよぎるのは税金のことだと思います。

実際、売却のご相談の際に、二番目に尋ねられる質問は税金のことです(一番目は売却予想価格です)。

そして特に勘違いが多いのもこの税金のことです。

 

不動産を売却した時にかかる税金は(一般には)譲渡所得に対してのものです。つまり「不動産を買った値段より売った値段の方が高くて儲かったら税金を払ってくださいよ」ということです。

 

例えば3,000万円で買ったマンションが3,500万円で売れたというような場合には、儲かった500万円に対して課税されるというイメージです。

 

利益が出れば課税ということは、利益が出なければ課税されないということになります。仮に3,500万円で買ったマンションが3,000万円で売れたというような場合、この価格だけで見ると500万円の損ですから課税されないのではと思われるかもしれません。しかし実際には、計算をしてみないと分かりません。とはいえ、それほど難しい計算ではありません。

 

不動産売却価格ー取得費ー譲渡費用ー特別控除額=譲渡所得

 

で計算します。

 

〇不動産売却価格

不動産を売った価格です

 

〇取得費

以下を含みます

(1)土地建物そのものの購入代金

(2)購入した時に支払った仲介手数料、売買契約書に貼り付けた印紙代、登録免許税、司法書士に支払った登記手数料、そして不動産取得税

(3)増築・改築・リフォーム費用

(4)減価償却費

減価償却費ですが、

 

建物取得価格×0.9×償却率(木造;0.031、RC;0.015等)×経過年数

 

で計算します。

 

例えば10年前に新築で3,500万円でRCのマンションを買い、建物価格が2,500万円(土地1,000万円)というようなケースでは、

2,500万円×0.9×償却率0.015×10年=3,375,000円となり、3,375,000円が減価償却費(10年間で減った建物の価値)ということになります。この他に手数料等を350万円ほど支払ったと仮定すると、この場合の取得費は3,500万円から手数料350万円と建物減価償却費337.5万円を引いた28,125,000円となります。

 

〇譲渡費用

以下を含みます

(1)売却した時に支払った仲介手数料

(2)売買契約書に貼り付けた印紙代

(3)測量費

(4)登記費用

(5)借家人に立ち退いてもらうために支払った立ち退き料

(6)更地にするために支払った建物解体費用

 

例えば上述の10年前に3,500万円で買ったRCのマンションが3,000万円で売れたと考えましょう。減価償却費や手数料等を引いた物件の取得費は28,125,000円でした。そして譲渡費用として不動産仲介業者に仲介手数料1,036,800円を計上して計算してみますと

 

不動産売却価格30,000,000円ー取得費28,125,000円ー譲渡費用1,036,800円=838,200円

 

となり、3,500万円のマンションを3,000万円で売って、数字上は500万円の売却損のように見えますが、実際は838,200円の売却益が出ていることになるわけです。

 

またこのケースのように、不動産を買ったときの価格がはっきりと分かっていれば良いのですが、実際はそれが分からない場合も少なくありません。その場合は、概算取得費を使用します。概算取得費とは土地は売却価格の5%、建物は「建物の標準的な建築価額表(国税庁PDF)」を用いて計算していきます。

 

2.

さて、ここまでで取得費をいかに計上するかが節税の肝であることが理解できたのではないでしょうか。この取得費については、実は相続税が大きく絡んできます。例えば相続した不動産を相続の発生から3年10か月という期間内に売却できれば、支払った相続税を上述の取得費に加算できるのです(国税庁「相続財産取得費加算の特例」)。

 

したがって、相続に絡んで不動産を売却するのであれば、なるべくこの特例が使える期間内に売却するのが良いでしょう。

 

 

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相続と不動産〜その14〜相続放棄しても不動産を放棄したことにはなりません

  • 2019.07.08 Monday
  • 12:29

2025年に、団塊世代が75歳以上となります。私たちの住んでいる近所を見渡してみると、現在高齢者のみでお住まいになられている家がいくつもあることに気づくのではないでしょうか。これらは空き家予備軍となります。

 

日本では持ち家政策の下、子供たち世代の住宅取得が推進されてきました。そうなると当然、親世代とは別の家にそれぞれの生活をするようになります。そして相続が発生しても移転登記も行われず、売却されることもなく、空き家は空き家のままで放置されるケースが増えてきました。それは経済が縮小していって土地の価格が下がった中で、売ったとしても売却益どころかマイナスが発生してしまったり、そもそも今の時代には誰も欲しがらない売却の難しい物件であったり、あるいは単純に面倒くさいというような事情があるからです。

 

さて、不動産の現場で客と話していると、そのような問題への解決策として「相続放棄」という手段を検討している方が多いことに気づきます。相続放棄とは、まさに被相続人の財産を相続することを放棄することを指します。地方に親が住んでいた不動産が空き家で置いてあるけど、めんどくさいし、売れないし、貸せないし、売る(貸す)にしてもかなり高い費用をかけて解体なりリフォームなりしないといけないし…etcというような事情で、どこからか「相続放棄」という言葉を覚えてきて、財産を一切相続しない代わりに、めんどくさい不動産の処分からも逃れようという考え方です。

 

しかし実際にはそんな甘い話はありません。

 

1.不動産の所有権は、別の誰かに移るまで管理責任は残ります

民法第940条にははっきりと「相続の放棄をしたものは、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と書かれています。

 

したがって、例えば戸建てを放置していて、その戸建てからの飛来物や落下物が、他人や他人の財産に損害を与えた場合、相続放棄を選択していたとしても、当然管理者責任を問われることになります。あるいはマンションを放置していて、管理が不十分なせいで水漏れが発生したりといったようなことがあると、当然その被害については賠償を求められることがあるわけです。

 

それならばと相続財産管理人を選任することを思いつくかもしれませんが、当然その相続財産管理人の費用が発生します。またその費用は相続財産から支払われ、足りない場合は申立人が支払うことになります。

 

つまり、不動産のめんどくさい管理・処分から解放されるために相続放棄を選択したとしても、次の所有者が正式に決まるまでは管理責任は付いて回りますし、不動産を相続することに伴う経済的な負担から逃れるために相続放棄をしたのに、費用はかかることになるということです。

 

2.国はほとんどの場合、相続放棄された不動産を引き取ったりしません

相続放棄された財産は、次順位の相続人に相続権が移ることになりますが、相続財産管理人を選任した場合、相続財産管理人は不動産も含む全相続財産をひっくるめて清算し残った財産を国庫に引き継ぐことになります。しかし、国としても相続放棄されたどうしようもない不動産を引き取るわけにはいきません。広く多くの国民の税金で運営されている以上当然の選択です。したがって、いつまで経っても相続財産の清算が終わらないことになります。そして相続財産管理人の費用は(相続放棄を選択して難を逃れたと思っていた)申立人が支払い続けることになります。

 

費用の大小という意味では当然、素直に相続して、自分で管理していた方が安くなることは言うまでもありません。またその方が処分も自由にすることができるということになります。

 

よって、もしあなたが自分の財産を誰かに引き継がなければならないと考えているのならば、なるべく早く、元気なうちに、財産の整理をしておくのが賢明な選択でしょう。「なんとかなるだろ」では子孫が困ることが多いのです。

 

またもしあなたが誰かの財産を引き受けなければならない立場にあるのならば、現在の所有者が元気な内に、財産の整理をするよう背中を押し、そしてお手伝いすることが賢明でしょう。不動産の資料を集めることや、境界の確認、道路の権利関係を整理するといった作業は、慣れないとなかなかハードルの高い仕事です。

 

いずれにしても「相続放棄するから大丈夫」というような選択は、決して問題の解決とはならない選択であることを覚えておく必要があります。

 

 

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空き家対策を真剣に考えてみる

  • 2019.06.17 Monday
  • 14:44

不動産関連のトピックスで度々話題になる空き家問題。

もちろん不動産業界内でも話題になります。

 

空き家が増えるということは需給バランスが供給に傾いていることを表しています。

 

具体的にみてみましょう。

 

平成31年4月26日に公表された「住宅・土地統計調査」(総務省)によると、総住宅数は6242万戸で3%増加しています。

その内、居住世帯のある住宅、つまり誰かが住んでいる住宅が5366万戸(86%)、そして居住世帯のない住宅、つまり空き家や建築中の物件が876万戸(14%)となっています。ただし、この876万戸の内、建築中の物件はたったの30万戸で、残りの846万戸は空き家となります。つまり全住宅の内の13.5%が空き家というわけです。

 

ではこれら空き家は、一体どのような内容なのでしょうか。

 

実にその半数以上(50.9%)の431万戸を占めるのが、賃貸住宅の空き家となっています。そして売りに出ている空き家が29万戸(3.5%)、別荘などの二次的住宅が38万戸(4.5%)、さらにはその他の住宅が370万戸(41.4%)となっています。

 

さて、不動産市場の需給バランスが供給に傾いているというのは上述の通りです。

 

市場の需給バランスが供給に傾いた場合、一般に、財の価格は下がることになります。不動産も例外ではありません。また例えば消費税の増税のような購買力に直接影響する需要サイドへの影響があった場合も同様にバランスは供給に傾きがちではありますが、今日はひとまず置いておき、単純な財の増減からの需給を念頭に置いて考えます。

 

政府は2015年に空き家等対策特別措置法(空家法)を制定しました。これは自治体が「問題空家」に対して助言・指導、勧告、命令、そして代執行を行うという方法を通して、空き家状態のまま不動産が放置されることを防ごうとするものです。例えば勧告に従わない不動産に関しては、建物が建っていても更地並みの課税にする、それでも従わない場合は代執行により取り壊すといったような動きです。

 

また空き家バンクの制度を通じて、自治体や民間の事業者がホームページに物件を掲載してマッチングを図るというようなことも行われています。

 

しかしそもそもの需給というものを考えてみると、これらは枝葉であり、問題の根本的な解決にはつながらないことが分かります。

 

例えばそもそも空き家で放置しているのは、その場所に住みたい・その場所で仕事したいという需要が少ないからです。需要があるのであれば、取り壊してでも売却に回したり賃貸に回したりするわけです。また代執行をするにしても、現実問題として費用を所有者が負担することは難しく、税金が投入されることになるわけですが、その費用を回収できるかどうかはその場所に需要があって、その後利活用されることにより税収が見込めるかどうかに左右されることが多いわけです。

 

実は私どもでも10年ほど前に「リノベーション」という言葉が流行り出した際、古くなった物件でもリノベーションすればきっと再び不動産が利活用されるのではないかと思い熱心に取り組んだことがありました。しかしどれほどきちんと使える物件が供給されたところで、その需要がなければ全く意味のないものだと思い知らされた経験があります。

 

では、問題の根本的な解決には何が必要なのでしょうか。

それには2つの方法が必要であると考えています。

 

一つは街づくりの大枠を改善すること、そしてもう一つはペナルティの創設です。

 

不動産市場に目を光らせていると、需給バランスが供給に傾いているからといって、不動産の価格が全国一律で下がっているわけではないことに気づきます。それぞれの都道府県の、それぞれの市区町村の、それぞれのエリアを細かく見てみると、それぞれに利便性の高いエリアというものが存在し、実は需給バランスが需要に傾いていることがあるのです。

 

したがって、各自治体による立地適正化計画で、供給の範囲を狭くしていくことができればこれが最も早く、最も効果的な空き家対策となるでしょう。

 

具体的には、用途地域の変更を行い、住む範囲、家を建てられる範囲を狭くしてきます。範囲を外れたところにある建物は壊します。範囲をコンパクトにすることでインフラの維持・更新費用を抑えることができるようにします。つまりインフラの維持・更新の費用対効果の高い範囲に住居を集めていく方向です。それはおそらく交通や買い物の利便性の高い「駅」周辺、平坦地、ということになってくるはずです。

 

ペナルティの創設については、空き家税を創設することで、空き家、空き地を吐き出させるという方法です。上述のように空き家であっても建物があることで税の低減効果があったものを無くす、それだけではなく、税を増やす。色々と意見や都合はあるでしょうが、「土地は有限の財産で公共の福祉を優先させるべきである」という土地基本法の精神に則れば、十分に理解を得ることができるものです。

 

中には相続に相続が重なって権利関係が複雑になりすぎてどうしようもなくなっている空き家や、所有者が行方不明になっている空き家もありますが、このような不動産であっても、公的な立場であれば、例えば一旦取得し、権利関係を整理した上で次の用途に使うというようなことができるはずです。マッチングサイト等の民間事業者でもできるような取り組みではなくて、こういった抜本的な取り組みが欲しいところです。

 

そしておそらく、不動産市場はこのような流れに乗っていく必要が出てくることでしょう。

 

であるならば私たちは、今の時点でどの不動産を取得しあるいは手元に残し、どの不動産を早目に処分してしまわなければならないのかといった選択をする必要があります。不動産には思い入れというものが付随するのが常ですので、なかなか選択が難しい場合もあるかもしれません。しかし「不動産」とはいえ不動産市場は常に動いていきますので、よくトレンドを見ながら利活用や処分をしていくことが大切です。

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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