相続と不動産〜その5〜相続できる人と相続できる額

  • 2019.01.17 Thursday
  • 11:18

前記事;不動産と相続〜その4〜押さえておくべき5つの要点

 

相続が発生した際には、一体だれが財産を相続して受け継いでいくのでしょうか。

 

まず相続が発生すると、被相続人と相続人という立場ができます。

 

被相続人とは財産を相続される側、つまり亡くなった方のことです。

 

そして相続人とは財産を相続する側、つまり生きている方の中で財産を相続する権利がある方です。相続の世界では「相続権をもつ」といいます。

 

例えばお父さんが亡くなって、お母さんと、子供たちが残された場合、お父さんが被相続人、お母さんと子供たちが相続人というようなパターンが一般的です。子供たちには非嫡出子、つまり婚姻関係にない男女から生まれた子供も含まれます。

 

このように、どなたかが亡くなった際に(ほぼ)自動的に相続権をもつ人たちのことを「法定相続人」といいます。

法律で定められた相続人なので法定相続人です。

 

さて、法定相続人には序列があります。財産を相続する優先順位です。

 

最も優先されるのは被相続人の「配偶者」です。配偶者は常に相続人となります。

配偶者とはもちろん、婚姻関係にある夫や妻のことです。しばらく会っていない、本当は愛していない、買い物に出ていったきり帰ってきていない…色々な事情はあるかもしれませんが関係ありません。

 

次に第一順位がきます。第一順位となるのは「直系卑属」です。被相続人の子、孫、ひ孫という人たちです。子が先に亡くなっていれば孫、子と孫が先に亡くなっていればひ孫ということです。

 

第一順位が誰も存在しない、あるいは全員が相続放棄している場合、第二順位に相続権が発生します。

 

第二順位は「直系尊属」です。被相続人、つまり亡くなった方の両親や祖父母という人たちです。

 

第一、及び第二順位が誰も存在しない、あるいは全員が相続放棄している場合、第三順位に相続権が発生します。

 

第三順位は「兄弟姉妹」です。被相続人、つまり亡くなった方のご兄弟という人たちです。

 

さて、では相続が発生した場合、このそれぞれの相続人は一体どれほどの財産を相続することになるのでしょうか。

 

法律で決まった相続分、いわゆる「法定相続分」は、

 

配偶者と子が相続する場合は、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子供たちが相続

配偶者と父母が相続する場合は、配偶者が3分の2、残りの3分の1を父母が相続

配偶者と兄弟姉妹が相続する場合は、配偶者が4分の3、残りの4分の1を兄弟姉妹が相続

 

というようになっています。しかしまず大前提として、どの財産を誰に相続させるのかを決める最も強い権利をもっているのは、被相続人です。財産は被相続人が生前、一生懸命築き上げたものですから、それをどのように分配するかについては当然被相続人の自由であるし権利だというのが法律の見解です。したがって、遺言書がある状態で相続が発生した場合、被相続人の意思が尊重されます。その次に相続人の意思が尊重されるということになります。

 

ですから例えば「義理の娘」だが、よく自分の介護に頑張ってくれたので彼女に財産を相続して欲しいという意思が遺言書で分かれば、その意思が尊重され、法定相続人である最優先の配偶者や直系卑属の息子ではなく、義理の娘が相続するということです。

 

つまり、法定相続分通りに分ける必要は全くないのです。遺言書はなくても相続人同士の話し合いですんなり決まるのなら、それが一番良いと国も判断しているわけです。あるいは、もめて「もう一生口も利かない」と悲しい結末を迎えるくらいなら、法定相続分という指針を作っておきますんで、使ってくださいねということです。

 

ここが誤解されやすいポイントでもあり、特に不動産の現場においてもトラブルを呼ぶポイントでもあります。

 

「法定相続分では配偶者が半分、子供たちが残りの半分だから、所有している土地を法定相続分通りの持ち分の共有にしよう。家族はみんな仲良しだから、もめることはないし、皆で末永く住めば良いじゃないか」

 

というような考えでの共有化です。最初は良いのです。しかし時間が経つと、不動産の管理への情熱の格差が、お金の面と精神面での不平等感を生み「あいつは何もしない」「あいつはこれっぽっちのお金も出さない」「あいつは家賃さえ払わない」というような少しずつのズレを生み、さらに相続が発生したり、どちらかが地元を離れた時に小さなヒビから大きな崩壊につながる結果になります。

 

不動産の現場では本当に何度も何度も何度も同じケースをみます。

 

特に不動産は額も大きな財産となり、また特殊な財産となりますから、信頼できる専門家と共にきっちりと前もって相続対策を準備しておくことがとても重要なのです。

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
不動産の売却、買い取りのご相談は
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併せて読みたい記事;

「遺産分割協議書を自分で作成する際の書き方と注意点」

「不動産と相続〜その1〜」

「相続した不動産を遺産分割協議前に売ることはできるか」

 

 

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相続と不動産〜その4〜押さえておくべき5つの要点

  • 2019.01.10 Thursday
  • 12:21

病気が進行すると、言葉を発するのも億劫になるため、自分がどうしたいのか、どのような治療を望むのか、そして財産をどうするのか等の意思表示をすることが難しくなっていきます。

 

財産と聞くと「うちにはそんな立派なものないよ」という声が聞こえることが多いものです。しかしこの「財産」には負の財産も含まれていることに注意しなければなりません。例えば、借金です。あるいは誰かの借金の保証人になっている場合です。また借地権に付随して建物を解体して更地で返還しなければならないような場合です。

 

もちろん、相続をしないという選択をすることもできますが、不動産や預貯金があるので相続をしてみたら、実は親が(意図してかそうでないかに関わらず)隠れた借金をしていて、それを知らずに子供が相続してしまい思わぬ借金を背負うというようなこともある話です。

 

ですから当ブログでは、元気な内に、まだまだ大丈夫な内に、きちんと準備してから長生きすることを強くお勧めしています。

 

さて、では準備しようと思ったときに、何から始めれば良いのか分からないということが多いのも事実です。

 

そこで、まず押さえておくべき5つの要点をおさらいしておきましょう。

 

1.財産の把握

相続される財産を全部洗いだします。現金預金や不動産、株式や保険といった正の財産だけでなく、借金や保証契約等の負の財産も全部洗いださなければなりません。財産目録を作って洗い出していきます。不動産に関していえば、例えば家の建っている土地は借地ではないか、借地であればどのような契約になっているのかというようなことも考えなければなりません。あるいは、前妻や後妻や愛人等がそれぞれ住んでいる家は相続財産となるのではありませんか?隠し子の住宅ローンの保証人になっていませんか?愛人にやらせているお店の不動産や営業権はどうなっていますか?何から始めれば良いか分からない場合でも、この「財産の把握」が相続準備の第一歩、基礎の基となりますから、まずはこれを丁寧に行いましょう。

 

2.評価

現金や預貯金以外の財産の価値が一体いくらなのかということを換算評価しなければなりません。不動産に関していえば不動産の市場は常に流動的で、価格は一定ではありません。「先日知り合いの不動産屋さんに聞いた価格」は現在時点の価格とは限りませんし、市場価格(≒不動産屋さんの値付け価格)は相続財産としての評価額とは異なります。

 

3.分割

トラブルを回避するためにはできる限り公平な分割が必要です。きちんと遺言書を作成しておきましょう。遺言書が無いまま亡くなってしまった場合には、相続人が協議して「遺産分割協議書」を作成します。(詳しくは→「遺産分割協議書を自分で作成する際の書き方と注意点」

 

4.納税資金確保

納税は、現金が必要です。不動産の物納は、ほぼ認められません。国としてもどうしようもない土地を物納されては困るのが本音です。事前に現金を用意するか生命保険を活用して納税資金を作る必要があります。納税の起源は、相続が発生したことを知った日の翌日から10か月以内です。不動産を売却して資金を確保する場合には、不動産は市場ですぐに売れるわけではありませんから、注意が必要です。十分期日の余裕をもって売却するか、免許を受けた買取専門の宅建業者に買い取ってもらって現金を作ります。

 

5.節税

きちんと対策を行っていない場合、実は節税できるはずだった部分まで納税してしまうことがあります。配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例、農地の納税猶予・・・色々な特例がありますので、相続に強い宅建業者と相続に強い税理士に相談の上、きちんとした対策を取っていく必要があります。

 

これから対策を始めようと思った場合、まずは1.財産の把握をやってみてください。一人では難しい場合、あるいは秘密にしておきたい事情がある場合には、信頼のおける宅建業者や税理士、司法書士等にご相談になられることをオススメいたします。特に相続に強い業者は、相続に強いネットワークをもっていますので、秘密を守りながら鉄壁の相続対策を作り上げることと思います。

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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「遺産分割協議書を自分で作成する際の書き方と注意点」

「不動産と相続〜その1〜」

「相続した不動産を遺産分割協議前に売ることはできるか」

 

 

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相続と不動産〜その3〜

  • 2019.01.04 Friday
  • 15:25

私自身の経験なのですが、実際に相続が発生するととても忙しくなります。愛する人を亡くした精神的なショックもある中、分からないことがたくさんあり、そして分からない中、色々なことを整理していかなければなりません。また整理の段階で、長く親しくしてきたはずの親族から心無い言葉を投げかけられたり、衝突したりすることもあったりします。そして大人になってからの衝突は悲しいことに修復することが困難になりがちです。

 

ですから、できれば健康な内に、そしてまだ関係が良好な内に、万が一の際の備えをしておくことがとても重要です。

 

さて、そもそも我々を悩ます「相続」とは一体何なのでしょうか。

 

相続とは、誰かが亡くなった時、亡くなった方がもっていた全ての財産と権利・義務を引き継ぐことをいいます。預金や不動産は相続で分けるイメージがあるかもしれませんが、この「権利・義務」まで引き継ぐというところがポイントです。

 

権利には例えば、著作権、特許権、電話の加入権等も含まれます。

 

また義務には例えば、借金を返済する義務、損害賠償をする義務、保証人として誰かの借金等を保証する義務…こういったものが含まれるのです。特にこれら「義務」の存在を、相続人が知らないことも多く、あとから「えっ!?」となることがありますので、注意が必要なのです。

 

さらに、被相続人(亡くなった方)が社長などである場合、相続があると家族や従業員、取引先などの大勢の方に影響を及ぼすことになります。

 

相続が発生すると、財産や権利・義務は、配偶者や子供たちのものになりますが、相続の手続きが済んでいなければ、全てが宙に浮くことになります。例えば預金の引き出しや、不動産の売却もできません。自宅のリフォームすらできません。不動産の売却ということでいうと、そもそも遺産分割協議が行われていない不動産を、免許を受けた宅建業者が取引することはありません。売主が誰かが法的にはっきりしないからです。もちろん貸すこともできません。万一売買契約締結後に、その存在さえ知られていなかった相続人がひょっこり現れれば、当然大きなトラブルになります。

 

また相続税の納付は相続があったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければならないわけですが、実務的には遺産分割協議を行い協議書を作成するのに一か月ほどかかるのが通常です。さらに順調に遺産分割協議が進み、協議書も作成され、では不動産を売却して相続税を納付しなければならないという段になって、納付期限までに不動産を売却して現金化できるかどうかは別問題です。

 

場合によっては、買取を行う宅建業者に不動産を即日買取してもらう必要も出てくることでしょう。その場合には、相場よりも少しだけ安い価格で売ることになります。

 

したがって繰り返しになりますが、健康な内に、そして関係が良好な内に、不動産に関しては時間に余裕がある内に、相続の準備をしておくことがとても大切なのです。

 

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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「不動産と相続〜その1〜」

「不動産と相続〜その2〜」

 

 

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相続と不動産〜その2〜

  • 2017.03.16 Thursday
  • 17:29

 

国税庁が発表する、平成27年度の相続税の申告状況によると、相続財産の内訳では、相続財産の内43.3%が不動産で占められていることが分かります。

 

つまり

「うちはお金とかない。父さんが残してくれた、この古い家だけしかないよ」

というような家庭でも、相続税の課税対象となる可能性があるということです。

 

例えば弊社の事務所のある東京都新宿区でも、都心を外れれば小さな戸建てが密集している地域があります。

そういう場所でも、路線価は520千円だったりします。

 

100平米の土地にこじんまりとした戸建てで慎ましく生活しているという状態だったとしても、家族構成によってはきっちり納税対象となったりするわけです。

 

さらに最近あったのが、お父さんが亡くなった時の一次相続で配偶者の税額軽減規定を活用し、わりとすぐに今度はお母さんも亡くなり(二次相続)、特例等が使えない。納税資金もない。どうしよう。というケースです。

 

結局このケースでは、思い入れのある土地建物を処分価格で売って納税資金を確保せざるを得ませんでした。

 

しかしもっと早い段階で、相続に強い税理士&宅建業者のチームと連携を取り対策を立てておけば、資産を最大限残す相続のやり方もありました。

 

ですから、できるだけ家族みんなが元気で健康な内に、きっちりと相続の準備をし、安心して長生きしていただきたいと思っています。

 

 

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相続と不動産〜その1〜

  • 2017.03.01 Wednesday
  • 17:11

相続と聞くと、ドラマであるような親族が大金を巡ってドロドロに争うイメージがあり、それがかえって「ウチは兄弟みんな仲良しだから大丈夫」とか「ウチにはそんなもめるような財産はないよ」というように考えるきっかけとなっています。

 

しかし、相続の金額の多寡や仲の良さに関わらず、相続はトラブルの元となり得ます。

 

例えば今日、知り合いのOLが義母のことを愚痴っていました。

 

「最近、義母さんがお金の無心をしてくるのよ〜、亡くなったお義父さんの財産とかあったはずなのに〜」

 

そのOLも、その部分だけをクローズアップして語るので、お義母さん=ダメな人、迷惑、お金にだらしない、などというイメージが勝手にできてしまい、OL井戸端会議はそちらの方向に話が進んでしまっていました。

 

しかし、よくよく聞いてみると相続での大きなミスがトラブルの元になっているのです。

 

1.相続財産が、不動産(2,000万)・預貯金等々(2,000万)で合わせて4,000万円あった

2.  たしか法律で配偶者は1/2、子供は1/2を子供の数で割ると決まっているはず←

3.  だが年老いた義母に、住み慣れた思い入れのある家を売らせたり、引っ越しさせるのが難しかった

4.  だから不動産(2,000万円)を義母に、預貯金等々(2,000万円)を子供たち2人で分けた

5.義母が病気で定期的に病院に通うようになり、家だけあっても日々の生活費と病院代が無くなった

6.義母が困窮してお金を無心してくる

 

「そんなアホな」と思われるかもしれませんが、これがよくある話なのです。

 

実際は上記2.のことを「法定相続分」と言いますが、これを適用するかどうかは任意です。したがって、「仲良く」話し合いで相続分を決めることもできますし、もちろん遺言書によって相続分を決めておくこともできるわけです。

 

相続財産が多かろうと少なかろうと、仲が良かろうと悪かろうと、相続はトラブルの元となり得ます。

 

ですから「普通の家庭」ほどできるだけ早く、みんなが健康で仲が良好な内に、きちんと対策を立てておくことが大切です。

 

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