相続と不動産〜その10〜被相続人が大家として不動産を賃貸していた場合

  • 2019.02.21 Thursday
  • 13:09

前記事;相続と不動産〜その9〜期間の戦い

 

見落としがちですが、相続が発生した場合に相続人に義務付けられているのは、相続税の支払いだけではありません。亡くなった方が本来支払わなければならない所得税の申告・納付をも行わなければなりません。この所得税の申告・納付を「準確定申告」といいます。

 

特に、不動産を賃貸して賃料収入を得ていた場合は必ずこの準確定申告が必要となります。その他の場合ですと、年間2,000万円を超える給与収入がある場合や個人事業主、生命保険金や損害保険金の払い戻しを受け取った場合等にも準確定申告が必要です。

 

そしてこの準確定申告なのですが、相続税の期間と異なり、相続があったことを知った日の翌日から4か月以内に行わなければならないことになっています。相続があったことを知った日の翌日から10か月ではありません。4か月です。

 

大家である被相続人の家賃収入は、亡くなった日までに支払期日が到来している部分です。例えば、毎月末に翌月分の家賃を支払うというような賃貸借契約を結んでいた場合、前月末分までが「支払い期日が到来している」部分になります。今が2月21日であれば、1月31日に受け取った2月分の家賃までが、亡くなった方の「所得」、つまり準確定申告の対象となるということです。これは所得税の部分。ちなみに相続税も、亡くなった日までに支払期日が到来している部分までが含まれることになります。仮に上と同じ契約がされていると仮定して、今が2月21日であれば、1月31日に受け取った2月分の家賃までが相続財産に含まれることになるわけです。

 

さて、それぞれの税の支払い期限までに、遺産分割協議が調えば良いのですが、前記事でも書いたように不動産が絡むと、協議が長引くことがあります。場合によっては支払い期限までに調わない場合もあるかもしれません。そのような場合は各相続人が一旦、自分の法定相続分を相続したということで申告・納税を行います。その後、遺産分割協議が調い次第、正確な相続税の納付申告を行い、追加納付をするか還付を受けるかという流れになります。

 

また相続開始後、遺産分割協議が調わない間に受け取った賃料は、それぞれの相続人がそれぞれの相続分に応じて賃料収入を得て、それぞれの相続分に応じて維持管理費を支払ったということで所得税の確定申告を行わなければなりません。最終的に賃貸不動産を相続した人が、相続開始から遺産分割協議が調うまでの間に発生した賃料を全部もらえるというわけではありませんので注意が必要です。

 

不動産の管理実務上、大家さんに相続が発生して、それぞれの相続人が「自分の口座に家賃を振り込むように」「いやいや俺に振り込むように」というような主張をしだすと、借りている人にとってはとても迷惑で不安な話になります。したがって相続が発生したのであれば必ず、いえ、相続が発生する前から、お近くの信頼のおける宅建業者に管理をお願いするべきです。

 

宅建業者へ依頼されると、まず家賃の管理と新しい体制が整うまでの維持管理が法に基づいて行われることになります。次に各相続人が、賃貸不動産の正式な相続人への権限を正式に委譲する書類の作成を行います。最後に相続人と賃借人との間で契約書を更新していきます。これによって将来に向かってトラブルをなくし、スムーズな承継が行えるようになることでしょう。

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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