大家さんが覚えておくべき賃貸契約の連帯保証人の保証債務の元本確定

  • 2020.10.16 Friday
  • 11:52

所有する不動産を賃貸する際には、連帯保証人をつけていただくことがあります。

 

改正民法ではこの場合、連帯保証人が負う可能性のある債務の限度額として「極度額(きょくどがく)」を設定するよう求めています。極度額の設定のない連帯保証契約は無効となります。

 

極度額とその請求について、大家として賃貸経営を行う方が必ず覚えておくべきことは以下の2つです

1.極度額が設定された場合に保証人に請求できる金額の範囲

2.連帯保証契約の元本確定

 

1.極度額が設定された場合に保証人に請求できる金額の範囲

例えば、極度額として100万円と設定したのであれば、賃借人の債務が200万円であっても、連帯保証人に請求できる金額は100万円が最高となります。また仮に遅延損害金として年14.6%が定められていたとして、その遅延損害金を含めると極度額100万円を超えるとしても、やはり100万円までしか請求できないということになります。

 

さらに、賃貸借契約期間中に家賃の滞納があり、連帯保証人がそれを肩代わりした場合、肩代わりした額を控除した額が極度額になります。例えば、100万円の極度額が設定されていて、賃借人が10万円の家賃を滞納し、連帯保証人が10万円を肩代わりして大家に支払ったというようなケースです。その後再び賃借人が家賃を滞納したとして、この連帯保証人に請求できる金額は最大で90万円まで(極度額100万円−以前肩代わりした10万円=90万円)ということになります。

 

2.連帯保証契約の元本確定

連帯保証契約の元本確定とは、ある一定の事由が生じた時には、その時点で、保証する債務の金額を確定させていしまいましょうというルールです。

 

例えば家賃10万円の一室を賃貸し、極度額を100万円とする連帯保証契約を結んでいたとします。賃借人が家賃を滞納し、保証すべき債務が30万円ある状態で、この一定の事由が生じた時に、連帯保証人に請求できる金額は30万円として確定するということです。

 

ではこの一定の事由とは一体どのような状況でしょうか。改正民法では次のように定められています。

(1)保証人の債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき

(2)保証人が破産手続開始の決定を受けたとき

(3)借主又は保証人が死亡したとき

 

この内、(1)(2)に関しては、つまり保証人自体が経済的に困窮するようになってお金が払えないので、他人である賃借人の支払うべき家賃どころではないことがほとんどです。したがってここではスルーします。

 

実務でありがちなのは(3)ではないでしょうか。

 

「借主が死亡した時に」「元本が確定」ですから、借主が死亡した時点で滞納がないのであれば、あとは借主が死亡する前、つまり生前に汚したり壊したりして負っていた原状回復の義務のみが、極度額の範囲内で保証人が負うべき債務となり確定します。

 

一般論では借主(賃借人)が病気で亡くなった場合、賃貸借契約は相続人が引き継ぐことになります。大家は賃借人の相続人を探して賃貸借契約を解除してもらい、部屋を明け渡してもらうことになります。その間にも家賃は発生しているでしょうから、その分の請求は相続人に対して行っていくことになるでしょう。相続人が相続放棄した場合、これは請求できる債権ではなくなりますね。

 

では連帯保証人にこの期間の家賃を請求することはできるでしょうか?いいえ、「借主が死亡した時に元本が確定」していますから、賃借人が死亡した後に発生した家賃については、連帯保証人には請求できないのです。

 

さて、借主(賃借人)が室内で自殺した場合はどうでしょうか。具体的には自殺行為で室内が汚損・破損したり、心理的瑕疵により家賃を下げざるを得なくなってしまったりしてしまったようなケースです。これらの損害は借主の生前の行為によって発生し、その後借主が死亡したという結果を招いたという順序関係を考えて、保証人が保証すべき債務に含まれると考えられています。もちろん保証人が保証すべき債務は極度額の範囲内でという大前提に立つことを忘れてはなりません。

 

また連帯保証人が死亡するというケースも当然あり得ることです。賃貸借の契約期間中に連帯保証人が亡くなった場合、上記(3)の規定の通り、その時点で元本が確定します。これはつまり、連帯保証人が亡くなった後に、賃借人が家賃を滞納したとしても、この滞納分について連帯保証人の相続人に請求することはできないということを意味しています。これはとても大切なことなので、よく覚えておかなければなりません。

 

連帯保証人が死亡した場合には、無保証の賃貸借契約が残るということになりますから、実務においては、保証人が死亡した時や、元本確定事由が生じた際には、借主は新たな保証人をみつけなければならない旨の条項を賃貸借契約で合意しておく必要があります。

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
不動産の売却、買い取りのご相談は
http://gafu.asia
メール info@gafu.asia
TEL 042-656-7414

 

 

 

 

 

 

JUGEMテーマ:アパート経営・賃貸経営

コメント
コメントする