改正民法で相続は何が変わるの?【その1】

  • 2018.07.11 Wednesday
  • 12:56

平成30年7月6日に、民法の相続分野の規定が約40年ぶりに改正される、改正民法など関連法が参議院本会議で可決成立しました。目的は相続の際に、配偶者がなるべく優遇されるようにすることです。2020年7月までに施行されることになっています。

 

では、これまでの相続と何が変わったのでしょうか。

 

変更点は大きく分けて3つです。

1.配偶者の居住権の新設

2.相続対象でない人も対価を請求できるようになった

3.自筆証書遺言を法務局に預けられるようになった

という3つです。

 

1.配偶者の居住権の新設

今まで、遺言がないままに相続が発生すると、基本的には、民法で定められた相続分(法定相続分)に沿って、現金や不動産等の財産を分けていました(民法887、889、890、900、907)

 

例えば現金1,000万円と自宅の不動産1,000万円の合計2,000万円を残して、ご主人が亡くなった場合を考えてみましょう。法定相続分に則って相続するとなると、これら合計2,000万円の相続財産を奥さんと2人の子供で分けることになります。法定相続分は奥さんが1/2の1,000万円分、2人の子供が残りの1/2を2人で分けて、それぞれ500万円分ずつとなります。

 

この場合に、自宅の不動産は奥さん一人で住むには広すぎるから、売って現金化してから、現金2,000万円の相続財産を奥さんと子供たちで分けるというような柔軟な対応ができれば問題にはなりません。あるいは2人の子供は成人してそれぞれ独立しており、また立派な考え方ができる人間として成長しており「自分たち子供は財産とか要らないから、お父さんを長年支えてきたのは母さんなんだから、全部母さんが相続して良いよ」というような話でまとまれば問題にはなりません。

 

ところが現実問題として、奥さんは住み慣れた家を離れたくない。子供たちも何かと入用ということがあったり、色々な事情で疎遠にならざるを得ないというようなことがあったりします。ならば自宅の不動産の1,000万円は奥さんが相続し、現金の1,000万円を子供たちで分けるしかないよね。という相続のやり方になります。

 

しかしこの相続のやり方には大きな問題がありました。奥さんが生活資金等で困窮するようになるケースがとても多くなってきたのです。結局自宅の不動産を急いで売らざるを得なくなり、急いで売らざるを得ないので売却金額も低くなり、寂しい結末となることがよくある話なのです。

 

そこで、先日成立した改正民法では、配偶者の居住権という権利を創設し、それ自体を相続財産とすることができるようになったのです。

 

配偶者居住権とは、例えばご主人が亡くなった時に一緒に住んでいた奥さんは、住んでいた家の所有権を相続しなくても、また家賃を払わなくても、これまで通りそこに住み続けることができるという権利です。したがって、家の所有権自体は子供たちに、居住権は奥さんに、という相続ができるようになります。

 

この権利は配偶者(この例では一緒に住んでいた奥さん)の年齢に応じて評価額が変わってきます。仮に配偶者居住権が500万円という評価だったとすると、奥さんが相続できるのは居住権と現金500万円に増えるということになり、奥さんは住み慣れた家に自分が亡くなるまで住み続ける権利と、生活資金としての現金も相続できるようになるというわけです。

 

2.相続対象でない人も対価を請求できるようになった

今までの民法では、法定相続人はその優先順に、配偶者、子、親、兄弟となっていました。

したがって、例えばご主人の両親、つまり義理の父や義理の母等の介護をして、献身的に面倒をみたとしても、ご主人の両親が亡くなった時には何も相続分はありませんでした。もちろん何かを得ようとして面倒を見てきたわけではないかもしれませんが、その働きに見合う何かしらの対価があっても良いのは当然のことです。

 

そこで改正民法では、亡くなった人を看護・介護していた場合に、その財産を相続した人に対価としての金銭を請求できるようになりました。(金額はまだ定かではありません)

 

3.自筆証書遺言を法務局に預けられるようになった

相続トラブルを避けるためには遺言書の作成が必須ですが、法的に有効な遺言とするために、いくつかの条件をクリアしなければならず、わりと手間と費用がかかるのが難点でした。またせっかく作った遺言書も、その後の色々な事情があって、遺言の内容を変えたくなったり、結局どこに保管したのか分からない(一番多いのは「どこにしまい込んだか忘れた」次に「家族にみつけてもらえない」パターンです)というようなことがありました。人によっては弁護士や司法書士、または銀行の貸金庫等に保管してもらうという選択肢を検討することになるのですが、費用や手続きの煩雑さが問題になっていました。

 

改正民法では、自筆遺言証書を数千円の費用で法務局で保管することができるようになります。

 

法務局では自筆遺言証書が法律上の要件を満たしているかの確認が行われたのちに、原本は保管、内容は画像データとして記録されるようになります。

 

そして相続が実際に発生した場合、誰でも遺言書の有無の確認ができます。また相続人などの関係者は、遺言が保管されている法務局で原本の閲覧を、全国の法務局で遺言内容の画像データの確認をそれぞれ行うことができるようになります。さらに、これらの原本の閲覧や画像データの確認を誰かが行うと、全ての相続人に対して遺言書が保管されているという事実を通知することになっています。

 

しかし相続が発生した時に自動的に法務局が遺言書の存在を通知してくれるわけではありません。法務局に遺言書の存在を家族が確認しなければなりません。したがって当然、事前に遺言書が法務局に保管されていることを家族には教えておく必要がありますのでご注意ください。

 

また遺言書を書き直した場合には、その都度法務局で、以前の遺言書の保管を撤回し、新しい遺言書の保管を行うようにしなければなりませんのでこの点にも注意が必要です。

 

【併せて読みたい記事】→改正民法で相続は何が変わるの?【その2】

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永秀一郎

 

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