遺産分割協議書を自分で作成する際の書き方と注意点

  • 2018.07.14 Saturday
  • 13:19

人間は(今のところ?)必ず死を迎えることとなります。問題はそれがいつなのかが分からないことです。また死という概念の捉え方は人によってそれぞれです。したがって、前もって「自分がいつ死を迎えても良いように」と周到に準備をする方もいらっしゃれば、自らの死を現実的に受け止めることができず(せず)に「あとは野となれ山となれ」という考え方の方もいらっしゃいます。理想としては、毎年、誕生日などの節目に、刻々と変化する現在の状況を全てきちんと整理して、遺言を更新していくことなのかもしれませんが、現実はなかなか難しいでしょう。

 

さて、いつ死を迎えるかというのが分からない中で、遺言なく死を迎え相続が発生してしまった場合、あるいは遺言があっても財産の増減や人間関係の移り変わり等の変化があって、やはりもう一度分配を決め直さないといけない場合、さらには相続人が複数人いる場合。この場合には、法定相続人は相続財産をどのように分配するかを決める必要が出てきます。これを遺産分割協議といいます。その結果、遺言の内容とは異なる相続財産の分配方法とすることも可能ではあります。

 

いずれにしても分配を決めたのであれば、後からトラブルにならないように、その決めた内容を書面にして保存しておくことが大切です。この書面を遺産分割協議書といいます。

 

よく「私の子供(相続人)たちは、とても仲が良いから、相続対策は必要ない」と言われる方がいらっしゃいます。第三者の目から見ても確かに仲が良く、人も出来ているので相続でもめそうな感じありません。しかし、状況は常に変化していくものです。仲が良いからこそ、相続と言うのはトラブルが発生するものなのです。仲が良いからこそ不動産を共有し、管理実務上の理由から負担の格差が広がっていき、不公平感から感情的なもつれになり、感情的なもつれが金銭的なもつれに変化していくのを、数えきれないほど見てきました(参考;「相続した共有の不動産をどうするか」)。

 

今は仲が良くても、そして幸いなことに将来の子孫も仲が良かったとしても、将来、子から孫に再び相続しなければならない時に、遺産分割協議書が作成されていれば、祖父の代でどのように相続財産が分配されたのか等の正確な情報を得ることができ、大変都合が良くなるわけです。というのも、遺産分割協議が行われて遺産分割協議書が作成され、持ち分が確定していなければ相続財産である不動産の持ち分を使用収益したり処分(売却)したりすることが難しいからです。したがって、面倒がらずに遺産分割協議書をきちんと作成しておくことが重要です。

 

登録を受けた司法書士や税理士等の資格者が、提供している相続サービスの一環として遺産分割協議と遺産分割協議書の作成を行うこともありますが、特に資格者により作成しなければいけないというわけではありません。法定相続人が自分たちで作成することができます。また相続人による署名と住所の記載は自筆ですが、内容部分は手書きでもパソコン(ワープロ)でも構いません。

 

〇表題を書く

特に決まりはありません。「遺産分割協議書」等で良いでしょう。

 

〇被相続人を明らかにする

誰の遺産を分割するのかです。被相続人、つまり亡くなった方の情報を書きます。書くのは以下です。

1.氏名

2.本籍地

3.最終の住所地

4.生年月日

5.死亡日

 

〇相続人を明らかにする

誰が遺産を受け取るのか、相続人全員分の情報をそれぞれ書きます。書くのは以下です。

1.氏名

2.住所

3.被相続人との関係

 

〇対象となる遺産の内容と分割割合を明らかにする

対象となる遺産とその内容、そしてどのように分けるのかを明らかにします。

 

対象となる遺産が不動産の場合は、不動産登記簿謄本(全部事項証明書)を取得し、その表題部をそのまま書き写します。不動産登記簿謄本は土地と建物は別になっているので、土地の不動産登記簿謄本と建物の不動産登記簿謄本をそれぞれ用意することが重要です。

 

土地は、実際は一面の土地として利用しているようでも、数筆に分かれていることがありますので注意が必要です。同じく建物も、一棟の建物のように見えても、別個の建物として登記されていることがありますので注意が必要です。また建物に関しては実際は存在しているのに、登記の情報はないこともありますのでご注意ください。

 

土地の場合は、所在、地番、地目、地積(面積)を書き記します。建物の場合は、種類、構造、床面積を書き記します。

 

不動産の代償分割を行う場合には、誰が誰に、いつまでに、いくらの代償金を支払うのかを書き記します。

 

また対象となる遺産が預貯金の場合は、通帳や証書を見ながら、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人を正確に書き記します。

 

〇自筆での署名と実印の捺印

遺産分割協議の内容に間違いがないことを確認した後、自筆で署名を行い、住所(印鑑証明書と同じ)を書き記し、実印を捺印します。署名した日時も忘れずに記入しておきましょう。

 

〇相続人の人数分+1部同じものを作成し、全てに全員が契印と割印を押印する

遺産分割協議書は、相続人の人数分+1部を作成します。相続人が3人なら4部作成しておきます。不動産の相続登記を行う際には、遺産分割協議書原本と相続人それぞれの印鑑証明書が必要になるからです。印鑑証明書は予め準備しておきましょう。

 

書類が複数ページに渡る時には、ホッチキスで止め、製本テープ(100均等で購入可能)でまとめた上で、製本テープと書類を割るように契印します。また遺産分割協議書は複数冊作成されるので、全ての遺産分割協議書が真正であることを証明するため、それぞれを重ねて割印をします。

 

なお「自分は何も相続しない」という場合であっても、後のトラブル防止のために、遺産分割協議書に署名捺印し大切に保管しておく必要があります。

 

〇ひな形

以上を踏まえると下記のようになります。


「遺産分割協議書」

 

被相続人 

  不動 産太郎

 

本籍地

  東京都八王子市〇〇町△番地□号

 

最終の住所地

  東京都新宿区西新宿一丁目〇番△号

 

生年月日

  昭和〇年△月□日

 

死亡日

  平成〇年△月□日

 

被相続人不動産太郎の遺産相続について相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記の通り被相続人の遺産を分割取得することに合意した。

 

1.下記不動産について、被相続人の妻不動産子が取得する

 

【土地】

所在

  東京都新宿区西新宿一丁目

 

地番

  〇番□

 

地目

  宅地

 

地積

  〇〇.□□平方メートル

 

以上、計一筆

 

【建物】

所在

  東京都新宿区西新宿一丁目〇番□

 

家屋番号

  〇番□-△

 

種類

  居宅

 

構造

  木造スレート葺2階建

 

床面積

  1階〇〇.△□平方メートル

  2階〇〇.△□平方メートル

 

以上、計一棟

 

2.下記の預貯金は長男不動産男が取得する

  〇〇銀行 □□支店

  普通預金 口座番号1234567

  口座名義人 不動 産太郎

 

3.被相続人のその他の財産は次男不動産多が取得する

 

以上の通り相続人全員により遺産分割協議が行われ成立したことを証明するため、遺産分割協議書を4通作成し、相続人全員が署名捺印の上、各一通ずつ所持することとする。

 

平成〇年△月□日(作成日)

 

相続人(妻) 不動 産子  実印

生年月日 昭和〇年□□月△日

住所 東京都新宿区西新宿一丁目〇番□(印鑑証明書の住所であること)

 

相続人(長男) 不動 産男  実印

生年月日 昭和□□年〇月×日

住所 東京都港区六本木三丁目〇番△号〇〇マンション×××(印鑑証明書の住所であること)

 

相続人(次男) 不動 産多  実印

生年月日 平成〇年□月△日

住所 大阪府豊中市緑丘二丁目×番□号(印鑑証明の住所であること)

 


 

相続が発生すると、傷心の中慣れない作業を行っていく必要が出てきます。

特に不動産が絡む場合には、抜け漏れがないように、また関係法令や税制との兼ね合いも考えて進めていくことが重要です。

 

いざという時に慌ててしまい失敗することがないよう、なるべく早く信頼できる専門家をみつけておき、十分前もって準備しておくことがとても大切になります。

 

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 

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