借地上の建物を賃貸できるか

  • 2018.07.16 Monday
  • 13:09

ご相談は八王子市内の戸建てのオーナーからでした。

 

最近相続が発生して、この戸建てに住んでいた母が亡くなった。この戸建ては借地上に建っている。しかし自身は都心に住んでおり、子供の学校の都合もあるので、この戸建てに住む予定はない。なのでこの戸建てを賃貸に出したい。しかし友人に相談したところ、戸建てを貸すということは、土地をも貸すということになるのだから、土地の所有者の許可を得たり、承諾料のようなお礼が必要となるのではないだろうかと言われた。実際のところはどうだろうか。というご相談です。

 

原則として、借地上に建っている自己所有の建物を第三者に賃貸することは可能です。また土地の所有者の承諾等も必要ありません。

 

この点について判例(浦和地裁昭和58年1月18日)によると、建物の所有を目的とする土地賃貸借契約においては、借地人が自己の所有する建物を土地の賃貸人の承諾を得ずに第三者に賃貸して使用させたとしても、それが借地の無断譲渡転貸だとはいえない(ただ、合理的な理由で借地上の建物を第三者に貸すことを禁じる特約がある場合は別ですがね)と述べています。

 

もう一つ、有名な判例として、少し古いのですが、大審院昭和8年12月11日の判例においては、土地賃借人が賃借地上に建設した建物を第三者に賃貸したとしても、賃借人は建物所有のため自ら土地を使用しているのであり、借地を第三者に転貸したとはいえないと述べています。

 

そもそも借地権というのは「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権」です。つまり、実際に建物に住んでいる人が誰かではなく、誰が所有しているかがポイントであるということになります。

 

また、宅建試験のひっかけ問題ポイントともなりがちで、よく勘違いされる部分なのですが、土地のオーナーの承諾が必要になるのは、土地の賃借権自体を譲渡したり、(別の誰かが建物を建てるために)貸すという場合です(民法第612条)。したがって、自分の所有している建物を貸すという行為とは全く別の物だということです。ここを混同しないようにしなければなりません。

 

ところで建物を借りた人が建物を利用するためには、当然土地を利用することになります。例えば土地部分を通って建物に入るわけですし、自家用車を停めることもあるでしょう。また庭に花や木を植えることもあるかもしれません。これはどのように考えれば良いでしょうか。

 

この点についても判例は、建物の使用に付随して生じる土地の利用であるので、これをもって土地の無断使用を主張することはできないとしています。

 

しかしもちろん、自己所有の建物を土地の所有者の承諾なく賃貸できるからといって、土地の資産価値を減じる原因となるようなテナントに貸すと、今度は別の問題も生じてきますので念のため。権利には必ず義務が付随するのです。

 

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 

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