借地権設定時の適正な地代の算出方法とは

  • 2018.07.19 Thursday
  • 13:39

土地をいくらで貸せるのか、あるいはいくらで借りるのかの適正地代(賃料)の問題は、とても重大な問題です。しかし、一般的には適正地代の算出と言うのはとても難しいものです。ネット上で検索してもはっきりしたことは分からないことが多いものです。また、地域の不動産屋(宅建業者)に尋ねても不正確であいまいな回答が返ってくることもあるかもしれません。

 

しかしそれも無理のないことではあります。というのも借地契約は、一般的なアパートやマンション、あるいは店舗や事務所と異なり、比較検討できる材料がとても少ないうえに、特に地主の意向が強く反映される契約となることが多いからです。加えて土地が道路にどのように付いているかや、土地を借りようとする側がどのような用途を念頭に置いて、どれほどの期間借りようとしているのか、あるいは権利金等の設定がどのようになされるのか等によって、大きくその価格が異なります。ある土地が5,000円/坪で賃貸されているからといって、その隣地の同じような土地が同じような地代で賃貸できるとは限らないのです。

 

また借地は、地上権、賃借権の違いだけでなく、旧法、新法、普通借地権、定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付き借地権、一時使用目的の借地権等、目的と用途に応じて様々な契約形態をとる、便利ながらも一方で複雑な権利となります。

 

したがって、借地権を設定した上での土地の賃貸借はその他の不動産の賃貸取引以上にオーダーメイドの色が濃くなるのが一般的です。ですから、地元の宅建業者にお電話を頂き「うちのこの土地はいくらで貸せるの」というような単純なご質問であっても、一般論としての回答しかできず、正確なお答えのためには、さらにより詳しいヒアリングが必要になるのが正直なところではあります。

 

さて、その上で。地元の宅建業者にお問い合わせになる前に、ある程度方向性を知りたいということもあるでしょう。あくまでも一般的な例を挙げ、ご自分の土地をざっくりといくらで貸せるのか、あるいは借りることができるのかを計算してみましょう。なお、本来はもっと複雑な計算で試算していくのですが、今回は入門編ということで、最も簡単な手法を取ります。しかし最も簡単な手法でも、自分の土地について色々なことが分かるものです。

 

地代を計算するには、(たとえざっくりとではあっても)不動産の価格や賃料(家賃)の計算の時と同じように必ず、積算、批准、収益の三通りのアプローチを行い、それを比較考量した上でおおよその地代を把握する必要があります。

 

【積算】

ここでは、最も事例を単純化するために、土地を更地として賃貸借した場合にかかる費用から試算してみます。一般的には、更地の固定資産税・都市計画税額の2.5倍〜4倍程度が年間の地代になることが多いといわれています。例えば八王子市内の平成30年度の固定資産税路線価225千円/平米(約743千円/坪)の土地330平米(約99.82坪)を対象土地として例にしてみましょう(以下同じ)。なお、ここでは税法の特例等は無視して計算しています。例えば今住宅が建っている等の場合は住宅用地の特例により課税標準が軽減されているでしょうから、単純に納税通知書の税額=その土地の固定資産税・都市計画税額と誤認しないように注意が必要です。

 

固定資産税評価額は 225千円×330平米=67,500千円

 

これに対して固定資産税 67,500千円×1.4%=945,000円

これに対して都市計画税 67,500千円×0.3%=202,500円

これにより年間の固定資産税・都市計画税の負担額は1,147,500円となります。

 

単純に固定資産税・都市計画税の2.5倍の地代を試算すると

1,147,500円×2.5=2,868,750円が年間地代、月額地代は2,868,750円÷12月≒239,063円(@2,395円/坪)となります。

 

【批准】

近隣で条件が同じ借地事例を調べて比較していきます。ここではあくまでも参考として最も単純な舗装していない青空月極駐車場と比較してみます。対象土地の近隣の似たような道路付けの土地の駐車場を調べてみると、車1台当たり15千円/月で借りられることがわかりました。自分の土地を駐車場にして貸すと、20台停めることができそうです。

 

計算すると、この土地の月額地代の能力は 20台×15,000円=300,000円(@3,005円/坪)となります。

 

【収益】

最後に、土地の価格から期待できる収益を導いてみます。本来であれば金融政策や市中金利、インフレ率、物件を最有効使用した場合(例えば容積率一杯に建物を建てて貸した場合の土地の貢献度)を検討し、地域の宅建業者等にヒアリングを行って決定するのですが、ここでは単純に土地の固定資産税評価額に対しての期待利回りを4.5%とおいてみましょう(わりと現実的な数字かと思います)。

 

上でみたようにこの土地の固定資産税評価額は67,500千円だったとします。すると67,500千円×4.5%=3,037,500円が期待される年間地代、月額地代は3,037,500÷12月=253,125円(@2,535円/坪)となります。

 

ということで、検討したこの土地は、坪当たり約2,400〜3,000円/月額という地代が設定されて賃貸される可能性があることがわかりました。ある程度の参考として自分の土地、あるいは借りようと思っている土地の地代を頭に入れておくと交渉が捗ることでしょう。とはいえ、不動産は原則として相対取引です。また個々の事情や契約内容によって大きく金額は変わってくるものです。また相場は常に変動します。上述のように借地権には大変独特な部分があり、その目的によって注意すべきことが全く変わってきますので、借地権を設定することを考えるのであれば、借地権に強い、免許を受けた宅地建物取引業者のサポートを受けるのが、取引を制するためのコツといえます。

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 

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