借地・借家の立ち退き料とは〜その1〜

  • 2018.07.28 Saturday
  • 11:15

「今住んでいるアパートの大家が『アパートが古くなってきたから建て替えるので、立ち退き料払うから退去して欲しい』って言ってきてるんだよね。」

 

私の友人の住むアパートは築50年を超えています。公的に認められることはないでしょうが私の中では歴史的建造物です。和式のトイレ、土壁、雨漏りの下に置かれた金属製の桶…。

 

それはさておき、この「立ち退き料」という言葉。そこそこ聞く言葉ですが、一体何のことでしょうか。

 

一般的には土地や建物の所有者(権利者)が賃借人に、その土地や建物の明け渡しを求める時に支払われるお金という意味でつかわれることが多い言葉です。

 

「家賃の〇ヶ月分と引っ越し代が出たよ」という話を誰かから聞いたことがあるかもしれません。

 

とはいえ、この立ち退き料という言葉は、借地借家法に正式に登場する言葉ではありません。つまり法律上、制度化はされていない言葉なのです。しかし不動産の現場、及び司法の現場において、賃借人が被る不利益に何らかの補償を認めることが、社会的・経済的に合理的であるという判断があり、広く普及した慣行といえます。

 

その証拠に、旧法の借地法(四条一項但書)及び、旧法の借家法(一条ノ二)では、地主や家主が明け渡しを求める場合には「正当ノ事由アル場合」に認められるという条文しかありませんでしたが、借地借家法(第6条)において「(前省略)財産上の給付をする旨の申し出をした場合におけるその申し出を考慮して、正当な事由があると認められる場合」に明け渡しを求めることができるというように「財産上の給付」という文言が条文に含まれています。

 

さて、この立ち退き料は、どのような場合に給付されることになるのでしょうか。立ち退き料が給付されるのは、以下のおおよそ2つの場合に分けることができます。

 

(1)都市計画事業等の公共事業による立ち退き

(2)賃貸借関係にある当事者(転貸借含む)による立ち退き

 

(1)については、例えば山で果樹園を営んでいたが、そこを高速道路が通ることになり、補償金が支払われた(そして受け取ったにも関わらず実際に立ち退きせず強制執行)というようなニュースが流れたことがありました。この補償金がいわゆる立ち退き料と解することができるのではないでしょうか。そもそもこれは借地借家法の守備範囲ではありません。

 

一般に多いケースは(2)です。

 

しかし、必ず「財産上の給付」つまり立ち退き料が支払われるわけではありません

 

定期借地契約や定期借家契約のように、一時使用を目的とした賃貸借契約が締結されている場合。また地代や賃料の不払い、あるいはその他の契約違反(例えば借地人の承諾を得ず建物を建てたり、借地権を譲渡したり)といった債務不履行がある場合、さらに賃貸人側の自己使用の必要性が極めて大きい場合、このような場合には、立ち退き料の支払いはまず行われません。

 

とはいえ、このような「正当事由」が存在していても、明渡が履行されなければ、やはり裁判所に申し立てを行ったうえで立ち退きの判決をもらい、強制執行に着手するという時間と労力が必要となりますので、それらを比較考量して立ち退き料を支払うこともあります。ケースバイケースです。

 

逆にこの例のような事由がない場合には、立ち退き料の支払いが行われるケースが実際はほとんどです。では立ち退き料の相場は一体いくらなのでしょうか。

 

実は、立ち退き料の相場というものは存在しません。それは契約内容や正当事由の強さによって大きく金額が異なるからです。「一般的には〇ヶ月〜」というセリフを聞いたり、ネットの書き込みを見かけたりすることがあるかもしれませんが、あくまでもケースによって異なることを覚えておかなければなりません。それは個々の契約を考えた時に、立ち退き料に含むべき「要素」が異なるからです。

 

立ち退き料の要素には次のものが含まれています。

1.立ち退きによって消滅する敷地利用権、建物利用権の補償

2.立ち退きによって賃借人が失う利益の補償

3.立ち退きによって賃借人が支払うこととなる費用の補償

 

不動産は唯一無二の存在で、地球上には「全く同じ不動産」はありません。同じマンションの同じ間取りでも、その位置している空間は異なるわけです。また不動産の利用の方法も各自に異なります。例えば住居と事務所、倉庫と店舗等でも要素は異なりますし、商売において、例えば同じ町内であってもA地点に店を置いた場合とB地点に店を置いた場合では、売上も大きく変わってくるでしょうから、補償の内容も大きく変わってくるのは間違いないわけです。

 

したがって立ち退き料の算定に当たっては、この「要素」を詳細に吟味していくことになります。

 

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎
 
不動産の売却、買い取りのご相談は
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メール info@gafu.asia
TEL 042-656-7414
 
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