借地・借家の立ち退き料とは〜その5〜住居として借りている側の事情〜

  • 2018.08.15 Wednesday
  • 11:36

これまで土地や建物を貸している側の事情から立ち退き料と正当事由についてみてきましたが、一方、借りている側の事情が立ち退きや立ち退き料に影響を及ぼす場合はないのでしょうか。

 

例えば住居として建物を借りていますよというような場合です。

 

まず原則として、実際に生活の本拠として建物を借りていることから、当然賃借人の必要性が強いと認められ、立ち退き料の支払いが行われるとしても、それをもって正当事由が補完されるとは認められない可能性が高くなります。

 

とはいえ、契約当初は住居として借りていた建物も、家族構成の変化によって現在は物置になっているのならばどうでしょうか。あるいは、賃借人に相続が発生して他に不動産を所有するようになっているとしたらどうでしょうか。あるいは賃借人がビジネスに成功して他に不動産を購入できるくらいの財力と信用ができたとしたらどうでしょうか。このような場合には賃借人側の必要性は低くなってきます。

 

仮に、例えば「今は物置にしているけど、また将来、住居として住もうと思っている」というような考えであったとしても、今現在の必要性としては低いわけですから、貸主(オーナー)側の今この瞬間の必要性に対して弱くなるのは仕方のないことです。

 

また昨今の社会問題ともなっている空き家の増加は、当然不動産の供給が(総数としては)過剰であることの証拠でもあるので、賃借人が代替不動産を探すことは難しいことではないと判断されるケースが増えています。したがって賃借人側の必要性としては、上述のような賃借人の財力や信用、移動の難しい年老いた両親と同居している、学校に通う子供たちがいるといったような賃借人の家族の事情、実際に賃貸借に供されている期間、というような具体的な内容を材料として総合的に判断されることが多くなります。

 

あくまでも「総合的に判断」されるので、「実際に賃貸借に供されている期間が何年以上ならOK」というようなことではありません。

 

例えば、現在の賃借人は親の代からその場所に長年住んでいるというような事情があると、町内での活動等を通して人間関係もできているでしょうし、その地域への貢献もあることでしょう。当然生活の本拠として引き続き住み続ける必要性が強くなってきます。このような場合には、いくら空き家が多い時代となってきたとはいっても「同一地域」に「同条件の代替建物」を探すということが難しいと判断されることが多く、賃借人側が保護されることが多くなります。

 

 

楽府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎
 
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「借地・借家の立ち退き料とは〜その2」

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