相続と不動産〜その13〜相続発生後にもできる税対策があります

  • 2019.04.05 Friday
  • 18:47

前記事;相続と不動産〜その12〜不動産をうまく利用して相続税を軽減する

 

当ブログでは常々、相続対策は頭も体も元気な内に、十分前もって取り組むことを強くお勧めしています。前もって取り組めば取り組むほど、効果的に節税を行い、より多くの資産を子孫に残すことができるからです。

 

とはいえ、不幸にも十分な相続対策を行うことができないまま、あるいは突然の相続が発生してしまうことは、あり得る話です。

 

ではそのような状況になってしまったときにとることのできる税対策はないのでしょうか。

 

〇空き家3000万円特別控除を使うことができないかどうか必ず確認する

 

昨今のニュースでも社会問題として取り上げられている「放置空き家問題」。住む人がおらず、管理する人もおらず、かといって解体には多額の費用もかかり、また建物が存在していると税額が低く抑えられることもあり、ただひたすら放置されている家が、近隣の環境を損ない、犯罪等の温床になっているという問題です。

 

売却することを検討するとしても、現場では大抵、現在は空き家となっているその家の、取得した際の費用(建築請負契約書や売買契約書等)が分からないことがほとんどであり、仕方なく売買価格の95%を取得価格として(国税庁HP;「取得費が分からないとき」

その20%〜30%の所得税を追加で支払うというようなことになると、手元に残る額はほとんどなくなるのが現実です。もちろんそれ以前に相続税も支払っているわけです。これでは一体何のために相続したか分からないという感想をもたれる方も多いものです。

 

その結果として、結局放置空き家が増加し、社会問題化していることを受け、平成31年度税制大綱では空き家の譲渡所得について3,000万円を特別控除する措置の、拡充と平成35年12月31日までの延長が決定しました(以下「空き家3,000万特別控除」)。

 

空き家3,000万特別控除とは、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(その敷地を含む。また耐震性のない場合は耐震リフォームしたものに限る)や、取り壊し後の土地を譲渡した場合に、譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度です(国税庁HP;「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)。

 

例えば2016年4月5日に、故郷に独りで住んでいた親が亡くなり相続が発生したとすると、2019年4月5日が3年を経過する日となりますので、その年の12月31日までに、相続した故郷の家を売れば、譲渡所得から3,000万円を特別控除してもらえるということになります。今までもこの制度自体はありました。しかし被相続人が老人ホーム等の施設に入居しているというような場合には、「被相続人の居住の用に供していた家屋」とは認められず、空き家3,000万特別控除の適用が受けられませんでした。

 

しかし平成31年4月1日以降に行われる対象家屋の譲渡では、被相続人が老人ホーム等に入居していたというような場合でも、空き家3,000万特別控除の適用を受けることができるようになります。

 

したがって、例えば故郷の親が住んでいた家(空き家)を相続したが、どうすれば良いのか決まっていないというような状況で、処分してしまうことも選択肢の一つであるのならば、なるべく早く(相続発生から3年以内に)、譲渡してしまうことが、税対策という面からは良い選択肢となる可能性が高くなります。

 

『相続人が「耐震リフォームしたもの」や「取り壊し後の土地」を譲渡する』という条件が気になるかもしれませんが、仮に相続人がリフォーム費用や建物取り壊しの費用を準備することが難しい場合でも、経験を積んだ宅建業者であれば、この条件を満たすスキームを提案してくるかもしれません。まずはお近くの信頼できる宅建業者にご相談になられることをお勧めいたします。

 

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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併せて読みたい記事;

「相続と不動産〜その5〜相続できる人と相続できる額」

「土地の売り買いの際に土壌汚染調査が必要な場合とは」

 

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令和元年のお花見

  • 2019.04.01 Monday
  • 13:50

物件を巡ってあちらこちらを旅していると、季節の移り変わりを肌で感じます。

先週は中野区におり、桜がもうすぐ満開になりそうだという話をクライアントとしていました。

 

福岡であれば、メジャーなお花見スポットから知る人ぞ知る隠れた名スポットまで、そのほとんどを把握していました。

 

しかし、東京のお花見スポットはメジャーな場所しか知りません。それはメディアに取り上げられるような場所です。目黒川沿いしかり、上野公園しかり、新宿御苑しかりです。そしてそのようなメジャーなお花見スポットは「戦いの場」でもあると聞いていました。

 

とはいえ、やはり百聞は一見に如かず。まずは飛び込んでみようではありませんか。その中で学ぶこともあるはずです。

 

どこに行くか色々と迷ったのですが、平成が終わり、令和という新時代を迎えるというタイミングもあり、やはりその発信地たる霞が関にほど近い千鳥ヶ淵を選択することにしました。

 

千鳥ヶ淵公園は英国大使館にほど近い皇居の西、皇居外周のお濠のほとりにあります。もちろん国会議事堂や最高裁判所等にも歩いて行ける場所です。ここの桜は約260本。ソメイヨシノやヤマザクラなどが咲き誇ります。

例年のお花見客は約126万8000人!外国人観光客も多いのですが、外国人の種類としてはどちらかというと、大使館職員というような雰囲気の客が多い印象です。また偶然発見した、千鳥ヶ淵の中でも穴場的なお花見スポットでは、筋骨隆々の護衛を数人引き連れた、ある国のVIPファミリーがお花見を楽しんでおいでだったりします。

 

千鳥ヶ淵の桜の特徴は、皇居のお濠の水面へ垂れ下がる満開の桜です。

その画像→(千代田区観光協会ホームページ

 

そしてやはりお花見といえば、満開の桜の下での宴会となるのでしょうか。

 

お花見自体は(諸説あるようですが)1,000年〜2,000年ほど前からあるようです。冬は山に隠れている神様が、春になると山から降りてきて桜の花を咲かせるという言い伝えから、桜の咲く時期に、満開の桜の下でその年の豊穣を願う儀式を行ったことが起源としてあるようです。

 

そして現代になってもなお、平成という一時代が終わり、令和という新時代が始まることが発表された春に、満開の桜は次の時代が実り豊かなものであることを願う大勢の人々を集め、魅了しています。

 

 

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相続と不動産〜その12〜不動産をうまく利用して相続税を軽減する

  • 2019.03.28 Thursday
  • 00:00

 

前記事;相続と不動産その11〜相続税額の計算

 

相続税は残された家族の生活に大きな影響を与えます。特に、価値の高い不動産資産を保有する被相続人である場合、その課税対象額は大きくなりがちで、もっている現預金を遥かに上回るバランスになりがちです。しかし実はこの不動産こそが、相続対策においては最も活用しやすく最も節税効果が高い財なのです。

 

〇まずは基本の基「小規模宅地の特例」を確実に使いこなしましょう

 

建物は原則として老朽化していくことに比例して財産としての評価が下がっていく消費財なのですが、土地は経年による減価を伴う消費財ではないために、財産としての評価は高額になりがちです。またそれが建物を買う時には消費税がかかり、土地を買う時には消費税がかからないという論拠でもあるわけです。ところがこの土地の高い資産価値が、こと相続においては「財産が高く評価される」という原因ともなります。とはいえ、例えば高齢のご夫婦のご家族が、時代と共に価値の高くなってしまった土地にお住まいになられていて、相続が発生したために巨額の相続税が残された方に課税されるということでは困るわけです。

 

そういった事情を(も)勘案して、創設されているのがこの「小規模宅地の特例」です。

 

小規模宅地の特例の対象となる土地は三種類です。

 

1.被相続人が住んでいた土地

2.被相続人が商売をやっていた土地

3.被相続人が貸していた土地

 

の3つです。

 

1.被相続人が住んでいた土地

被相続人が自宅として住んでいた土地を同居していた配偶者が相続した場合、その土地の330平米(約99.82坪)までの部分が80%減額されて評価されます。例えば5,000万円の土地を相続したとするなら、5,000万円×(100-80)%=1,000万円の評価額に抑えられます。

 

また配偶者がいない場合、3年以上借家住まい(この場合は持ち家をもった相続人ではダメです)の相続人が相続し、保有することで、同じく330平米(約99.82坪)までの部分が80%減額されて評価されます。

 

2.被相続人が商売をやっていた土地

被相続人が個人名義の建物で事業をしていた土地は、相続開始(亡くなって)から10か月後まで引き続き事業用の土地として使用、保有すれば400平米(約121坪)までの部分が80%減額されて評価されます。例えば7,000万円の土地を相続したとするなら、7,000万円×(100-80)%=1,400万円の評価額に抑えられます。

 

もちろん、相続開始以前からその場所で商売をしていたという事実が必要です。つまり小規模宅地の特例を受けるために被相続人が亡くなってから商売を始めたというようなことでは当然、特例の対象にはならないということです。

 

3.被相続人が貸していた土地

被相続人が大家さんとして、アパートを建てて貸していたり、ロードサイド店舗の用地として貸していたりといった賃貸事業を行っていた場合、相続開始(亡くなって)から10か月後まで引き続き賃貸、保有を行っていれば200平米(約60.5坪)までの部分が50%減額されて評価されます。例えば7,000万円の土地を相続したとするなら、7,000万円×(100-50)%=3,500万円の評価額に抑えられます。

 

もちろん例のごとく、相続開始前からその土地を賃貸の用に使っていなければなりません。つまり小規模宅地の特例を受けるために被相続人が亡くなってから賃貸事業を始めたというようなことでは当然、特例の対象にはなりません。当ブログで繰り返し「十分前もって準備しておきましょう」と書いているのはこういう事情からなのです。

 

以上、3つの種類の土地について「小規模宅地の特例」を使って相続税額を軽減できることが分かりました。

 

これらを踏まえると例えば、現預金で5,000万円をそのまま相続してしまうよりも、現預金の割合を50%ほどに減らして、残りの50%は賃貸用の不動産取得に当てて、賃料収入を得ながら、相続税の軽減の恩恵も受けるというような、オーソドックスながらも王道の相続対策ができるわけです。

 

あるいは、どうするか予定が決まっていなくて、とりあえず空き家や空き地状態で保有しているというような不動産も、単にそのまま相続するよりも、予定が決まるまではとりあえず賃貸事業を行っている土地にしてしまった方が、万一の相続税の面でもまた賃料収入という面でも、かなり有利になるということです。賃貸の問題点としてよく言われる「貸したら返ってこないのでは」という心配ですが、法の見直された定期借地・定期借家等の道具を上手に使えば良いのです。

 

ただ注意すべき点もあります。それは不動産賃貸市場と言うのは流動的であるということです。昨今のニュースでも大きく報じられている通り、少子高齢化と新築物件の供給過多という市場環境にあります。ですから不動産を賃貸に出して、相続税の軽減を受けたとしても、受益分以上の損失を出してしまうリスクはあります。また家賃保証付きのアパート建売業者の建物の質の悪さや、管理の質の悪さも大きく取り上げられています。

 

したがって、具体的で現実的な数字に基づく計画と、地域に密着した信頼のおけるアドバイザーという武器を上手に活用することがとても大切です。

(詳細;国税庁ホームページ「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」

 

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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併せて読みたい記事;

「相続と不動産〜その10〜被相続人が大家として不動産を賃貸していた場合」

「海外に転勤する間だけ、自宅を賃貸に出す方法」

「生産緑地を貸すという選択肢」

 

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よこはま・たそがれ

  • 2019.03.25 Monday
  • 15:38

友人が自分の居住地を「兵庫」ではなく「芦屋」「神戸」であると言い張るのと同じように、横浜居住者は自分の居住地を「神奈川」ではなく「横浜」と言うのです。

 

なんでも横浜は、行政区の括りでは確かに神奈川県に所属していることになっているかもしれないが、S市やK市といった神奈川県内の他の市町村とは全く異なるものなんだとか。気を遣ってか『「神奈川です」と答えると「横浜の?」と聞き返されて面倒だから、最初から「横浜です」っていうんだよ(標準語)』と言っていますが、その心にはプライドが見え隠れします。

 

神奈川県に住んだことがないので、横浜という都市についていまいちピンと来ていませんでしたが、それほどいうなら一体どれほどのものなのかと思い、横浜市への出張ついでに横浜市中心市街地に足を延ばしてみました。

 

物件を幾つか回り、裁判所に寄って、私は早速衝撃を受けることとなりました。

 

なんともおしゃれな裁判所の建物。そして堂々と「横浜地方裁判所」と名乗っているのです。私の知っている「福岡地方裁判所小倉支部」「東京地方裁判所立川支部」のシステムでいくと「神奈川地方裁判所横浜支部」のはずなのですが、そうではありません。ここは「横浜地方」の「裁判所」なのです。これは思っていた以上ではありませんか。心してかからねばなりません。

 

そして道行く人々のオシャレさ。服装、靴、髪型…洗練された人がかなり多い印象を受けます。地方の人が思う東京よりも「東京」のイメージに近いです。

 

さらに念願の赤レンガ倉庫にまで足を延ばしました。

 

元・北九州人の私にとって「赤レンガ」といえば門司なのですが、全国的に有名なのはもちろんこちらの横浜赤レンガ倉庫。横浜赤レンガ倉庫は1号館と2号館の2棟からなります。もともとは国営の保税倉庫として2号館が1911年、1号館が1913年に竣工しました。第一次世界大戦よりも前の話になります。2019年現在、築108年の建物ということになります。

 

日本初の業務用エレベーターや避雷針、消火栓を備えた建物です。

 

個人的にはテレビドラマ「あぶない刑事」のイメージです。

 

そして1989年には倉庫の役割を終えしばらく放置されていたようですが、1992年の再開発に伴って横浜市が国から譲り受け、リノベーションを施して商業施設・イベント施設として復活したという歴史をもちます。

 

 

私自身、不動産に興味をもって色々な場所を巡りますが、全国各地の自治体がここ横浜の街づくりを参考にしていることがよく分かります。

 

またもちろん賑わいのある街ではありますが、交通インフラを含めて、東京の都心部にみられるような不自由なほどの混雑ということもなく、不動産の価格も安定した推移をしていると感じました。坂が多い点を考慮してもなお、かなり住みやすい街であることは間違いありません。

 

 

何より黄昏時の横浜は、とても美しい街でした。

 

横浜の人が「自分は横浜人なんだ」と胸を張る気持ちがよく分かった一日でした。

 

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2020年4月から不動産の「隠れた瑕疵」はなくなります(民法改正)

  • 2019.03.22 Friday
  • 12:10

「ママさん、悪いね、ツケといて」

 

飲食店での代金支払いの時効は1年であるというのは有名な話(?)ですが、2020年4月より施行される改正民法により、この時効は5年になるということが話題になりました。そしてママさんは「請求できる権利がまだあると知った時点から5年」請求することができるので「アレはもう時効だよね」が通用し難くなるのです。

 

さて、120年ぶりの民法改正、不動産の現場にも変化をもたらします。

 

特に大きな変化が表題の「瑕疵(かし)」の部分です。

 

不動産を売り買いしたことのある方や、宅建士の勉強をしたことがある方なら一度は目にしたことのあるはずの文言

 

・不動産に隠れた瑕疵がある場合には、それを知ってから一年以内に損害賠償を請求すること(で権利の保全)ができます

・その瑕疵のせいで売買の目的が達成できない場合には契約を解除できます

・その瑕疵について売主に責任があろうがあるまいが関係ありません

 

と、大まかにいうとこのような内容の法律でした。

 

例えば中古住宅を買ったところ、買主さんが内見した時には気づかなかった雨漏りがありました。売主さん自身も雨漏りに気が付いてなかったというような場合です。旧民法ではこの隠れた瑕疵について売主さん自身が知らなくても責任を負う必要があったわけです。それが「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」です。

 

そして一般的な不動産売買契約では、不動産は「現状有姿(げんじょうゆうし)とし、売主は瑕疵担保責任を負わない」というような特約が付いて契約が結ばれていることがほとんどかと思います。また宅建業者から不動産を買う場合には「瑕疵担保責任を追及できるのは引渡しから2年間とする」という特約が付いているケースが一般的です。

 

しかし現場では、どこまでが瑕疵でどこからが瑕疵でないのかという点が問題となっていました。

 

「知っていた」「いや知らなかった」「知っていたけどその程度のことが本当に瑕疵?」というような点です。

 

そこで今回の民法改正では、この「隠れた瑕疵」が「契約の内容に適合しない場合の売主の責任」に変わることになりました。

 

つまり知っていたかどうかや瑕疵なのかそうでないのかではなく、契約の内容に合っているかどうかで判断されることになるということです。従って売主側は「瑕疵担保責任」ではなく、契約内容に対しての「不適合責任」に変わります。これに伴い、

 

・不動産に隠れた瑕疵がある場合には、それを知ってから一年以内に損害賠償を請求すること(で権利の保全)ができます

改正後;契約内容に適合しないことを知ってから一年以内にその事実を通知すること(で権利の保全)ができます

 

・その瑕疵のせいで売買の目的が達成できない場合には契約を解除できます

改正後;軽微な不適合の場合は契約は解除できませんが、契約の目的が達成できない場合には催告により契約を解除できます

 

・その瑕疵について売主に責任があろうがあるまいが関係ありません

改正後;売主に責めに帰すべき事情が必要です

 

というように変わります。

 

これに加えて、契約通りの内容で実行できそうであれば「契約通りの内容で実行してくれない?」という追完請求権、「今さら契約通りの内容で実行することは難しいかもしれないけど、せめて代金は勉強してくれない?」と請求できる「代金減額請求権」という選択肢が増えることになりました。より実際に適合した解決策が加わることになったわけです。

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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併せて読みたい記事;

「土地の売り買いの際に土壌汚染調査が必要な場合とは」

「過去に小火(ぼや)があった建物は瑕疵のある物件になるか」