相続と不動産〜その9〜期間の戦い

  • 2019.02.14 Thursday
  • 12:15

前記事;相続と不動産〜その8〜相続税のかかる財産とは何か

 

相続は時間との勝負です。というのも、相続税の申告や納付の期限は「被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内」であるというように期間が決められているのです。

 

被相続人の財産は、医師の死亡宣告の瞬間に相続人の共有財産となります。相続税の申告や納付は、相続人全員が同意して分割の完了がなされていなければすることができません。つまり、遺産分割で争いが起きてしまえば、10か月という期間はすぐに到来することになります。その時点で「まだまとまっていないけど、とりあえず不動産を売らなきゃいけない」とやっていては、市場で売却するにはとても間に合わないというケースがでてきますので、注意が必要です。相続人が不動産価格に対して過度な期待を抱いておらず、市場の考える適正価格であれば(ここがポイントです)、すんなり現金化することはできますが、昔の良かった時期のイメージが強すぎて、自分が適正と考えている不動産価格と市場の考えている適正価格との間に乖離があれば、市場では見向きもされず、結局処分価格でバーゲンセールとなりますので注意が必要です。

 

ちなみに、申告・納付期限を守れなかった場合は延滞税が課されます。

平成31年12月31日までの期間の場合、納付期限を1日以上遅れ、2ヶ月以内に支払った場合、年2.6%の延滞税です。また2ヶ月を過ぎて支払った場合8.9%の延滞税となります。<国税庁;https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm

 

相続の際に戦わなければならない「期間」は相続税の納付期限だけではありません。

相続をするのか、それともしないのか、そしてどのような形で相続するのか、これらを決定するのにも期限があります。

 

相続には三種類の方法があります。不動産、現預金、有価証券等のプラスの財産と借金等のマイナスの財産のいずれもひっくるめて全て相続することを「単純承認」といいます。

 

逆に全く相続しないことを「相続放棄」といいます。相続放棄をするためには家庭裁判所に相続放棄の申し立てをしなければなりません。その手続きは相続開始から3か月以内に行わなければならないという期限が定められています。その間に手続きを行わなかった場合、自動的に「単純承認」を選んだとみなされます。現実問題として、相続が発生して49日があって、親戚で集まって、財産を全部集めて、それぞれをどう分けるか決めてというのはなかなか骨の折れる作業です。特に不動産に関しては意見の割れやすいところがあります。不動産を保有しておきたい人と、保有したいとは思わない人がいるでしょうし、仮に保有することでまとまっても、では具体的に誰が責任をもって管理運営していくのか、リスクは誰が背負うのかといったことまできちんと決めなければなりません。

 

なお相続放棄は相続人それぞれの判断でするかしないかを決めることができます。しかしいったん相続放棄を行うと、変更できませんので注意が必要です。

 

そして三種類目の相続の手段は「限定承認」です。プラスの財産の範囲内であればマイナスの財産も相続するというものです。つまり負債が上回った部分については相続しないということです。しかしこの方法は相続人全員の合意による必要があります。ですから一人でも反対する相続人がいる場合は使うことができない方法です。この方法も「相続放棄」と同じく、相続が発生した日から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てを行ってすることができます。

 

府株式会社 宅地建物取引士 永 秀一郎

 
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「相続と不動産〜その4〜押さえておくべき5つの要点」

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相続と不動産〜その8〜相続税のかかる財産とは何か

  • 2019.02.07 Thursday
  • 18:17

前記事;相続と不動産〜その7〜相続人に保障された最低限の権利としての遺留分feat.平成30年度相続法改正

 

さて相続が発生した際に、最も頭を悩ませるのが相続税ではないでしょうか。

相続税の申告は、相続が発生したことを知った日の翌日から10月以内に行わなければなりません。

 

では相続税は、どの財産にかかってくるのでしょうか。

 

主だったところでは現金・預金、土地・建物、有価証券、債券、著作権、貴金属等、換金できるものはほとんど課税対象になります。

土地・建物つまり不動産にかかる相続税でいうと『「借地権」は借りているもので、自分の所有ではないので財産ではないですよね?』というご質問をいただくことがあります。しかし、借地権は相続財産です。

 

地主さんから土地を借りて、その上に家を建てて住んでいるというケースはよくあります。家は、物理的にも権利的にも土地と一体となってやっと家となります(不可分性)。したがって相続で家も相続するのであれば、その家が建っている根拠となる権利、つまりこの場合であれば「借地権」も相続することになります。また上述のように、借地権は売買の対象となり換金できるものです。ということで借地権は相続財産ということになり、相続する際には相続税が課税されます。

 

借地権は契約して土地を借りているものです。契約の内容にもよりますが、一般的な借地権の場合(=定期借地権等でない場合)、借地人はほぼ半永久的に土地を使用収益することができます。それはつまり土地の本来の所有者である地主が半永久的にその土地を使用収益できないという意味でもあります。したがって、所有権としての評価よりも借地権としての評価のほうが高いケースがあります。

 

また現場でよくあるのは、昭和の中期〜後期の時期に借地権を設定して土地を借りて家を建て、時代の移り変わりとともに周囲の環境が変化して、土地の価格自体がかなり高くなっているというケースです。

 

例えば借地契約は昔々で地主さんも地元の名士で裕福、昔からの付き合いなので地代は毎月数万円しか払っていない、家は被相続人である父が建てた古いものなので固定資産税も当然格安…「ウチは財産なんてないから」というようなケースで、実はその借地権の課税台帳価格は億を超えており、基層控除等を引いて税率を掛けて、相続税額は一千万円を超えるというようなことがあります。

 

ですから「ウチは財産とか持っていないから」と思っていても油断大敵なのです。

 

どのような場合でも、できるだけ前もって相続される財産をリストアップして整理し、節税対策できる部分は対策し、不動産のように価格の上下する財産は出口戦略をきっちりと練って計画的に実行していくことがとても大切です。

 

 

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「相続と不動産〜その6〜法的に有効な自筆証書遺言の書き方feat.平成30年度相続法改正」

 

 

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相続と不動産〜その7〜相続人に保障された最低限の権利としての遺留分feat.平成30年度相続法改正

  • 2019.01.31 Thursday
  • 00:00

前記事;相続と不動産〜その6〜法的に有効な自筆証書遺言の書き方feat.平成30年度相続法改正

 

前記事では、相続が争族にならないために、また相続人の意思をできるだけ反映させるために、十分前もって遺言書を準備しておくことが大切であることを取り上げました。

 

さて、法的に有効な遺言書ができ、相続人側もその遺言に納得がいけば万事OKでしょう。しかし相続人側が納得いかない遺言書の内容であった場合は一体どうなるのでしょうか。

 

例えば「俺は愛人の〇〇と会って本当の愛というものを知った。だから財産は全て愛人の〇〇に相続させる」という法的にバッチリ有効な遺言書があった場合(実話)。お互いに思うところはあるにせよ、相続人側としては「意義あり!」と言いたい事情もあるかもしれません。

 

またここまで極端な例ではないにしても、例えば、相続人が子供たちで、一方は実家に住んで毎日生活面での面倒を見ていて、もう一方は遠方に働きに出てお金を家庭に入れることで経済的に面倒を見ていたというような状況で、どちらか一方にのみ財産を相続させるという遺言であった場合、やはり不公平感を感じずにはいられない相続人も出てくる可能性が高いわけです。

 

そこで民法は、その1028条から1044条に、相続人の権利を守るものとして「遺留分(いりゅうぶん)」というものを設定し、その詳細を細かく規定しています。

 

それによると、財産が遺贈や生前贈与されても、配偶者、子(又は代襲相続人)、直系尊属(親など)は「遺留分」として一定の相続分を確保することができるとされています。なお法定相続人の順位で第三順位である兄弟・姉妹は含まれていないことに留意しなければなりません。

 

またそれぞれの「一定の相続分」とは、直系尊属のみが相続人である場合は被相続人の財産の3分の1。それ以外の場合は被相続人の財産の2分の1とされています。ですから例えば、愛人に1億円の財産を相続するという内容の遺言書があっても、奥さんと子供は遺留分を請求することにより5千万円を自分たちのために確保し、それをそれぞれで分かち合うというようなことができるということになります。

 

この遺留分を請求する権利のことを「遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげいさいせいきゅうけん)」と言います。

 

基本的に民法では「相続財産はそれを築き上げた被相続人のものだよね。まあもちろんその過程においては大なり小なり相続人の助力もあっただろうけどね」というようなスタンスですから、この遺留分減殺請求は自動的に発動するわけではなく、あくまでも権利として存在するよということなのです。それゆえ権利を行使するかどうかを法定相続人が決めなければなりません。つまり遺留分減殺請求をしても良いし、しなくても良いというわけです。

 

しかし請求するのであれば、民法第1042条にあるように「相続の開始、及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから一年以内」にしなければなりません。この期間内に行使しなかった場合や、相続開始から10年を経過した時にも同じように時効により消滅します。

 

またこの権利は放棄することもできます。被相続人が生存している段階であれば、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に遺留分の放棄の申し立てを行い、家庭裁判所の許可を得ることで行うことができます。裁判所が許可をするかどうかは、どのような事情で遺留分の放棄を行っているのかという個別具体的な内容を裁判官が斟酌して決まります。日頃の行いはとても大切です。また遺留分を放棄した側にとって不公平でないかどうか(例えば遺留分を放棄する代わりにある程度の金銭を与えることで公平性を担保しているか)をみているようです。もちろん被相続人が亡くなり、実際に相続が発生したのであれば自由に遺留分を放棄することができます。また法定相続人の一人が遺留分を放棄したからといって、他の法定相続人の遺留分が増えるわけではないことにも留意が必要です。

 

さて、実はここからが本題です。この遺留分減殺請求ですが、不動産の現場ではとても困ったことが起きていました。遺留分の侵害の対象が不動産である場合です。

 

例えば1億円のマンションが相続財産であり、法定相続人の遺留分が5千万円だとすると、このマンションは、遺言により相続した人と遺留分減殺請求により相続した法定相続人の共有ということになってしまいます。となると、民法の共有のルールに則り、不動産は自由に処分できませんし、運営管理にもいちいち同意が必要となります。一方はお金がかかろうと大規模修繕はきちんとやりたい、しかしもう一方は古い建物の大規模修繕などお金の無駄と考えているといったような意見の相違があれば、結局何も進まず不動産は朽ちていくということになります。実際に多いケースです。

 

そこで平成30年度の相続法の改正では、「遺留分侵害額の請求」ができるようになりました(平成31年7月施行)。参考;法務省ホームページ「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について」

 

これは遺留分を金銭債権として請求する権利です。つまり今後は、遺留分は金銭でしか請求できなくなるということです。これにより上記のような不運な共有やトラブルを避け、例えば「不動産は〇〇に譲りたい」「経営する会社は〇〇に譲りたい」というような被相続人の意思を尊重したうえで、できるだけ多くの人が納得いく相続の形を作ろうとしているのです。

 

これにより遺留分侵害額の請求をされた側は、金銭債務を負う、つまり金銭により補償を行う必要があります。補償分の金銭が用意できない場合には、裁判所に対し、金銭債権の全部又は一部に関して、期限の許与を求めることになります。場合によっては不動産の売却や有効活用により現金を作り出す必要があることでしょう。その際にはいつ売れるか分からない一般市場での売却というよりも、買取を行う宅建業者等への売却が有効な選択肢となるかもしれません。

 

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相続と不動産〜その6〜法的に有効な自筆証書遺言の書き方feat.平成30年度相続法改正

  • 2019.01.24 Thursday
  • 11:35

 

さて、相続が争族にならないために、一番必要なことは一体何でしょうか。

普段から常に仲良く、相手を気遣うこと、敬うこと…もちろんこれらもとても大切なのですが、やはり家族や親族といえど日々色々な状況に直面して状況や考え方は変化していくものです。

 

相続をきっかけとした不動産の取引の現場では、相続を円満に解決させ、家族が末永く仲良くやっていくための一番の秘訣は、十分前もって遺言書が準備されていることだと感じます。

 

「遺言書とかなくても、うちは(仲が良いから)財産の分配でもめないよ」

「遺言書とかなくても、うちはもめるような財産がないよ」

 

このような気持ちは大変よく分かります。その根底には、もちろん「家族仲良くやってほしい」という気持ちだけでなく、いつかは自分に訪れると頭では理解している「死」を現実のものとして捉えられない、捉えたくないという気持ちが多分にあるように感じます。

 

「まだ大丈夫」

 

こう思っている時が、実は肉体的にも精神的にも、準備のための最適な時期となります。慌てて行う対策には、必ずトラブルがついてくるものです。したがって、きちんと準備をしてから、ゆっくり長生きしていただくのが良いかと思います。

 

では賢明にも、家族の将来の安定と平和のために遺言書を書こうと思った場合、次に考えるのはどのように書けば法的に有効な遺言書となるのかという点です。もちろん税理士や司法書士等の専門家に頼んで法的に有効な遺言書を整備してもらうことはできます。ただしもちろんそれなりに費用がかかります。

 

また、まだまだ人生は長いので自分の財産状況や家族関係に変化が訪れる可能性もあります。例えば、孫が生まれて目の中に入れても痛くない。かわいくて仕方ない。もうこの子に全てを捧げたいというような気持ちの変化があるかもしれません。変化がある度に専門家に頼んで費用を払って遺言書を作成するというのは現実的でない場合もあるでしょう。

 

このような場合に、よく使われるのが「自筆証書遺言」という形です。

 

自筆証書遺言は、文字通り自筆で書かれた遺言書です。ただし専門家に依頼しているわけではありませんので、その遺言書に法的な有効性をもたせるためには、次の条件を必ず満たしていなければなりません。

 

(1)全文自筆であること

自筆証書遺言を法的に有効な遺言書とするためには、*全文を自筆で書く必要があります。ワープロやパソコンで書かれたものは認められません。*なお、平成30年度7月の相続法改正により、自筆証書遺言に添付する「財産目録」の作成はワープロやパソコンでも可能になりました。したがって、自筆で、例えば「別紙目録一及び二の不動産を、長男である不動産多に相続させる」のように書き、パソコンで作った「別紙目録」を添付するというようなことができるようになったわけです。

 

(2)ボールペンなど、消せない筆記具を使用すること

鉛筆やシャープペンではだめです。

 

(3)表題に「遺言書」とはっきり明記すること

この表記がなければ、本人は遺言書のつもりで書いていても、他人には単なる財産配分の案を書いたメモ書きに見えるかもしれません(という主張をさせるスキを与えてはいけません)。きちんと「遺言書」である旨明記します。

 

(4)相続人について間違いなく特定できるように書くこと

同姓同名の親族はいませんか?混同のないように戸籍謄本等を参考にしながら丁寧に記載していきましょう。生年月日や被相続人との関係を明記するのが良いでしょう。

 

(5)相続財産について間違いなく特定できるように書くこと

不動産は「土地」と「建物」で別物です。ですから「〇〇の家」といったざっくりとした表記では不十分です。「東京都八王子市〇〇町△丁目□番地□号の土地 △△平米」「東京都八王子市〇〇町△丁目□番地□号の家屋番号〇〇番△号の建物」というように丁寧に書きます。法務局の登記事項証明書を取り寄せて一件ずつ丁寧に書きます。なお、上述のように、平成30年度の相続法改正により相続財産については別紙で財産目録をパソコン等で作成して、自筆証書遺言に添付することが可能になりましたので、作成しておくと便利です。ただしパソコンで作った別紙目録にも全てのページに自筆での署名押印をしておくことをお忘れなく。

 

(6)各相続人それぞれの取り分を分かりやすく明確に書くこと

「下記不動産について、被相続人の妻不動産子に相続させる

【土地】

所在

  東京都新宿区西新宿一丁目

地番

  〇番□

地目

  宅地

地積

  〇〇.□□平方メートル

以上、計一筆

 

【建物】

所在

  東京都新宿区西新宿一丁目〇番□

家屋番号

  〇番□-△

種類

  居宅

構造

  木造スレート葺2階建

床面積

  1階〇〇.△□平方メートル

  2階〇〇.△□平方メートル

以上、計一棟」

 

「下記の預貯金は長男不動産男に相続させる」

  〇〇銀行 □□支店

  普通預金 口座番号1234567

  口座名義人 不動 産太郎」

 

(7)遺言執行者を指定する

遺言書の内容が、間違いなく執行されるための統括責任者を指定しなければなりません。税理士や司法書士、弁護士等、また信頼できる知人の社長等を指名される方が多いようです。

 

(8)作成年月日を記入して署名・捺印を行う

自筆証書遺言は、いつでも任意の時に新しい遺言書を書くことができます。複数遺言書が発見された場合には、日付が最新のものが有効とされます。また認知機能の低下等で責任能力の問題が生じた場合に、遺言書の作成年月日の時点においての責任能力がどうだったのかといった判定がなされるため大変重要なポイントとなります。自身の署名・押印と共に、忘れずに記載しましょう。

 

(9)封筒に入れ、封をして押印する

 

このように作成した遺言書は、分かりやすい場所に保管しなければなりません。しかし今まで、自筆証書遺言は自宅の押し入れ奥深くに保管されたり、金庫や仏壇に保管されたりすることが多く、忘れ去られたり、無くしたり、書き替えられたりするリスクがありました。平成30年度の相続法改正では、こうしたリスクを避けるために、法務局で保管する制度が創設されることとなりました。法務局では原本を保管し、また画像データとして自筆証書遺言を残すことになります。そして実際に相続が発生すると、相続人は遺言書の写しの請求・閲覧が可能になるとともに、請求閲覧があったことが他の相続人にも通知されるという仕組みになります。

 

最後に、実際に相続が発生した場合、遺言書は家族で開封して中身を確認するのではありません。自宅等で遺言書を保管していた場合には、遺言書が法的に有効かどうかを家庭裁判所がチェックする「検認」という手続きを経なければなりません。検認申し立ては、遺言書を保管していた人(上記「遺言執行者」等、または遺言書を発見した相続人が、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。この検認において改定裁判所が「問題なし」と認めれば、自筆証書遺言はようやく効力をもつことになり、執行されることになります。上述の法務局による保管を行っていた場合、この検認の手続きが不要なため、時間や手間といった面でも大変なメリットがあるといえます。

 

なお、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所について、被相続人の最後の住所地が海外である場合もあることと思います。この場合、被相続人の日本国内における最後の住所地が基準となります。また被相続人が一度も日本国内に住所をもたなかった場合には東京地方裁判所が管轄となるようです。

 

 

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相続と不動産〜その5〜相続できる人と相続できる額

  • 2019.01.17 Thursday
  • 11:18

前記事;不動産と相続〜その4〜押さえておくべき5つの要点

 

相続が発生した際には、一体だれが財産を相続して受け継いでいくのでしょうか。

 

まず相続が発生すると、被相続人と相続人という立場ができます。

 

被相続人とは財産を相続される側、つまり亡くなった方のことです。

 

そして相続人とは財産を相続する側、つまり生きている方の中で財産を相続する権利がある方です。相続の世界では「相続権をもつ」といいます。

 

例えばお父さんが亡くなって、お母さんと、子供たちが残された場合、お父さんが被相続人、お母さんと子供たちが相続人というようなパターンが一般的です。子供たちには非嫡出子、つまり婚姻関係にない男女から生まれた子供も含まれます。

 

このように、どなたかが亡くなった際に(ほぼ)自動的に相続権をもつ人たちのことを「法定相続人」といいます。

法律で定められた相続人なので法定相続人です。

 

さて、法定相続人には序列があります。財産を相続する優先順位です。

 

最も優先されるのは被相続人の「配偶者」です。配偶者は常に相続人となります。

配偶者とはもちろん、婚姻関係にある夫や妻のことです。しばらく会っていない、本当は愛していない、買い物に出ていったきり帰ってきていない…色々な事情はあるかもしれませんが関係ありません。

 

次に第一順位がきます。第一順位となるのは「直系卑属」です。被相続人の子、孫、ひ孫という人たちです。子が先に亡くなっていれば孫、子と孫が先に亡くなっていればひ孫ということです。

 

第一順位が誰も存在しない、あるいは全員が相続放棄している場合、第二順位に相続権が発生します。

 

第二順位は「直系尊属」です。被相続人、つまり亡くなった方の両親や祖父母という人たちです。

 

第一、及び第二順位が誰も存在しない、あるいは全員が相続放棄している場合、第三順位に相続権が発生します。

 

第三順位は「兄弟姉妹」です。被相続人、つまり亡くなった方のご兄弟という人たちです。

 

さて、では相続が発生した場合、このそれぞれの相続人は一体どれほどの財産を相続することになるのでしょうか。

 

法律で決まった相続分、いわゆる「法定相続分」は、

 

配偶者と子が相続する場合は、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子供たちが相続

配偶者と父母が相続する場合は、配偶者が3分の2、残りの3分の1を父母が相続

配偶者と兄弟姉妹が相続する場合は、配偶者が4分の3、残りの4分の1を兄弟姉妹が相続

 

というようになっています。しかしまず大前提として、どの財産を誰に相続させるのかを決める最も強い権利をもっているのは、被相続人です。財産は被相続人が生前、一生懸命築き上げたものですから、それをどのように分配するかについては当然被相続人の自由であるし権利だというのが法律の見解です。したがって、遺言書がある状態で相続が発生した場合、被相続人の意思が尊重されます。その次に相続人の意思が尊重されるということになります。

 

ですから例えば「義理の娘」だが、よく自分の介護に頑張ってくれたので彼女に財産を相続して欲しいという意思が遺言書で分かれば、その意思が尊重され、法定相続人である最優先の配偶者や直系卑属の息子ではなく、義理の娘が相続するということです。

 

つまり、法定相続分通りに分ける必要は全くないのです。遺言書はなくても相続人同士の話し合いですんなり決まるのなら、それが一番良いと国も判断しているわけです。あるいは、もめて「もう一生口も利かない」と悲しい結末を迎えるくらいなら、法定相続分という指針を作っておきますんで、使ってくださいねということです。

 

ここが誤解されやすいポイントでもあり、特に不動産の現場においてもトラブルを呼ぶポイントでもあります。

 

「法定相続分では配偶者が半分、子供たちが残りの半分だから、所有している土地を法定相続分通りの持ち分の共有にしよう。家族はみんな仲良しだから、もめることはないし、皆で末永く住めば良いじゃないか」

 

というような考えでの共有化です。最初は良いのです。しかし時間が経つと、不動産の管理への情熱の格差が、お金の面と精神面での不平等感を生み「あいつは何もしない」「あいつはこれっぽっちのお金も出さない」「あいつは家賃さえ払わない」というような少しずつのズレを生み、さらに相続が発生したり、どちらかが地元を離れた時に小さなヒビから大きな崩壊につながる結果になります。

 

不動産の現場では本当に何度も何度も何度も同じケースをみます。

 

特に不動産は額も大きな財産となり、また特殊な財産となりますから、信頼できる専門家と共にきっちりと前もって相続対策を準備しておくことがとても重要なのです。

 

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